倍返しにしてあげる、覚悟なさい


書類を受け取って。
彼の、髪を耳に掛ける仕草を見た瞬間。
あ、やばい、と思った。
そして、それからはもう、止まらなかった。
彼の一挙一動が。
指先が。
くちびるが。
すべてが。

(…触れてほしい)
(…乱されたい) 

まだ終業時間まで間があるのに。
一旦考えてしまったことは、もう離れなくて。

(思春期の男子高校生並だ)

でも、仕方がない。
彼は、いつだって、自分の欲を高ぶらせて。
捕えて。
離さないのだから。

「秋山、今日の晩御飯…あきやま?」

(ばかだね、弁財)

やっと終業の時間が来て。
一緒に帰りたいからと、無理やり業務を終わらせて。
並んで、部屋に戻る途中で。
上目遣いで、そんな言葉を掛けるものだから。

(理性が、灼き切れそうだ)

じわじわと。
一歩ずつ部屋に近づく毎に、餓えは増して。
偶然触れる肩の、熱にも。

(おかしくなりそうだ)

「秋山、具合でもわる…」
「弁財、」

扉を開けて。
足を踏み入れて。

(もう、だめだ)

ぐい、と身体を引き寄せて。
舌を絡ませた。
ふかく、ふかく。
お互いの唾液が混じり合うほど。

「ん…、ふぁ…」
「あ、きや…」

カチャカチャと、隊服のボタンも、ベルトも、外してしまう。
彼のそこに触れると、確かに熱を帯びていて。
嬉しくて、つい、くちづけた。

「あきや、まっ」
「んん…、べんざい、だまって」

咥えて。
舐めて。
自分の身体の奥も、じんわりと熱を帯びていくのがわかった。

(一緒に脱げばよかった)

普段きっちりと着ている隊服が乱れる様は、とても扇情的で。
上がる声を我慢する彼はとても、。

「べんざい、きれいだ」
「やめろ…っ」

でも、知っている。
気付いている。
頭を掴む手が、震えていることを。
少しだけ強く、押し付けていることを。

「いいよ、イって」
「あぁぁっ」

ぐっと、ふかく、呑み込むと、彼は堪らない、という様子で、精を吐き出した。
喉の奥に当たるそれが、自分の欲を刺激して。

「んんっ、」

ろくに触れていないのに、自分も達してしまった。

(…せんたく、たいへん、だ…)

ぼんやりと思っていると、ぐい、と身体を引き上げられて。
彼は、性急に、隊服のベルトに手を掛けて、。

「べん、ざい…」
「うるさい…お前が煽ったんだからなっ」

ロクに解されていないのに、すっかり受け入れる体勢の整ったそこに、一気に、挿入した。

「あぁぁっ、べんざ…いっ」
「んっ…あきやま…きつい…、」

ガツガツと揺さぶられて。
背中に当たる壁の感触が痛くて。
身体の奥に感じる彼の熱を、受け入れて。

「も…イっちゃ…」
「イけよ」

前と後ろを同時に刺激されて。
もう我慢できなくて。
あっという間に、達してしまった。

「あぁ…」
「…んっ」

ぎゅ、と締めつけてしまったらしく。
彼もまた、その刺激を受けてしまったようで。
身体の奥に、再び彼の精を受けることになった。
それが、ずっと欲しくてたまらなくて。
やっと、満たされて。

「弁財…」

たぶん、ひどく満足そうに笑ったのだろう。
彼は戸惑ったように。
それでも、拒絶することなく。
そっと、頭を撫でてくれた。


【Fin.】

お題は、群青三メートル手前様から頂きました。


2013/08/05 Wrote



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