GNAN


「先輩〜!!先輩先輩先輩先輩先輩!」
 中庭に愛しい恋人の姿を見つけて、コンスタンスは矢の如くに駆け寄った。大声で連呼されたダルタニアンは、恥ずかしそうにコンスタンスを見遣る。
「コンス…」
「なんですか先輩。急に呼び出したりして……。何かご用ですか?」
「あの、ね。お願いがあるんだけど…」
 年上の彼女は彼を見つめ、瞳を潤ませる。
「私たち、もう恋人同士なんだから、そろそろ……」
「そろそろ!?」
 もしかしてデート!?それとも定番の一緒に登下校!?それともそれとももしかしてうれし恥ずかし初エッ…いやそんな僕たちまだ早…くないけど心の準備ばっちOKです!
 と、妄想したのも束の間、ダルタニアンが言ったのは別の言葉だった。
「名前で呼んでほしいの」
「あ。そー……ですね。僕たち恋人同士ですもんね!」
 あっはっはっは、と空に向かって大笑いして、コンスタンスは広がりまくった妄想を粛々と畳んだ。
「じゃあ呼びますよ……ダ、ダル……」
「ダルタニャン!」


 ニャーン


「違――――――う!」










2011/08/22 up



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