虎の少年と(澁澤さんが皆と仲良くしているもしもな世界軸)

 横浜中心街から幾ばくか離れた街外れにあるその古書店は、最寄り駅から徒歩数十分はかかる悪条件の上に商売っ気がまるでない。しかも雑木林に隠れるようにして存在するため、通行人の目にも入り難かった。
 とはいえ外観はいわゆる和風モダンな洒落た日本家屋で、古臭い感じは一切ない。此処で喫茶処なんかをやったら瞬く間に雑誌に取り上げられ、婦女子ちがこぞって訪れる人気店になりそうだ。
 低めの塀には瑞々しい蔦が這い、それがさらに周辺の木々との調和を助長している。
 正面にある大きめの門扉を潜ると店舗兼自宅の玄関があり、これまた趣味の良い風合いだ。

 しかし門にも玄関にも店の証たる看板が立っておらず、それどころか軒下に吊るされた木札に少々神経質な字で”骨休め”の一言が記されていた。
 これだと一見定休日と思われがちだが、この札が”商い中”になったのを敦は終ぞ見たことがない。そのため彼は当初、この店の経営を危ぶんだりしたものだ。
 しかしその杞憂は職場の先輩社員――太宰治によりすぐさま一蹴された。どうやら日本のみならず世界各国に顧客がおり、店主の気紛れ開店でも問題ないのだとか。

 けど、勿体無いよなあ……。
 敦は立派な古書店を仰ぎ見る。
 何度か店内に足を踏み入れているが、あれほど壮観な光景には中々お目にかかれない。
 屋内には売物の書籍だけでなく古書骨董蒐集家の一面も持つ店主個人の私物も収められており、その数は学校の図書室どころか市営の図書館をも軽く凌ぐ。そのためその道の好事家からは、”蒐集家コレクター”の名で有名だった。
 また本棚や調度品、本の配置や照明に至るまで拘り抜かれ、そのあまりの趣深さと存在感に敦は暫く呆然としていたものだ。
 しかもその古く傷んだだけに見えるたった一冊の本で、紙幣が何枚何十枚と動くのだから驚きである。

 ちなみにこの古本屋、屋号は”ドラコニア”というらしいのだが、常連客でもそれを知る者は少ない。看板すらないのだから当然といえばそれまでなのだが、その割に店主はこの名称をいたく気に入っているらしかった。

 さすがに今日は居るよね……?
 敦は耳をそばだててみる。
 優に一年の半分以上を渡り鳥の如く海外を飛び回っている店主の在宅を知るのは一苦労なのだ。しかもここの店主、このご時世に携帯可能な連絡手段を所持していないため、自宅の固定電話にかけるしかない。ところがそれすら気分次第で無視することもあるのだからたちが悪かった。
 何はともあれ、本日は店主直々のお誘いであるからして、不在なんてことはないはずだ。

 裏に行ってみるか……。
 戸を叩くこともせず、敦は玄関の裏手に回った。
 基本的にこの家の玄関は閉まっており、用があれば裏から上がるようにと仰せつかっているためだ。

 それにしても、此処はいつ訪問しても隅々まで手入れが行き届いている。
 人がいなくなると建物は傷むというが、此処に関してはその法則は当てはまらない。まるで建物そのものが息をしているかのように、生き生きとしているのだ。
 ……まあ、そんなはずないんだけどね。
 敦は自分の想像に苦笑いをしながら、足元に敷き詰められた玉砂利や風に揺れる草花を愛でる。
 大方、留守中は知人や業者に維持管理を頼んでいるのだろう。この家にいる店主以外のもう一人の住人も当然世話をしているはずだが、常に店主に寄り添うあの人が、家に残っているとは思えなかった。

 店の裏手は居住空間になっており、広い縁側が敦をもてなしてくれる。
 昨夏に此処で馳走になった西瓜の味を思いだし口の中に唾が充満した頃、風鈴のような軽やかな声が響いた。

「あら、敦君。いらっしゃいませ」
 縁側に佇んでいたのは店主の同居人――北森鴻だ。
 本日は胸元にレースのあしらわれた白ブラウスに、新緑を思わせる足首までのプリーツスカートを合わせた楚々とした格好をしている。そしてなにより、彼女は筆舌に尽くしがたいほどの美女で、ここの店主とは一応恋人関係にあるらしい。
 しかし彼らの仲睦まじさやつうかあ具合はもはや夫婦の域で、敦も当初は夫婦だと信じて疑わなかった。
 とはいえこの間違いは店主が彼女を妻と紹介したこと、紹介された彼女も否定をしなかったことが最大の原因なのだけれど。

「お久し振りです、鴻さん。お元気そうで何よりです。今回はいつもより長かったですね」
「ええ、そうなんです。あの人はいつも気紛れですから。……さあ、続きは後程にしましょう。どうぞ、座ってお待ちになって下さいな」
「はい、有難うございます」
 促されるように縁側に腰掛けた敦に冷たい麦茶を勧めた鴻は、そのまま襖の奥へと消えた。

 柔らかい日差しが当たってぽかぽかと暖かい縁側からは、季節折々の花や木が鑑賞できる。どこか素朴で過剰な華美さのないそれらは、いわゆる詫び錆びというやつだろうか。こういった景色を純粋に楽しめる心の余裕は大事だ。
 氷と硝子の摩擦音を聞きながら敦が喉を潤していると、ようやく待ち人が現れる。

「やあ、敦君。待たせたかな」
 雲のように白い長髪と林檎のような赤目が印象的な男性――澁澤龍彦だ。
 彼は身に纏う衣服も大半が白い上に涼しげで整った顔立ちをしているため、どこか浮世離れした印象がある。けれど話してみると結構気さくで言葉数も多く、敦は彼との雑談がことのほか楽しい。しかもどうやら詳細こそ不明だが澁澤と鴻は異能力者らしく、どこか親近感もあった。
 ただ――なぜか彼に会うたび一瞬だけ、敦は背筋に緊張感のようなものが走る。一介の古書肆が持ち得ぬような独特な雰囲気のせいだろうか。とにかく敦本人にも、未だその理由は皆目検討もつかなかった。

「澁澤さん、お久し振りです」
 そう言って立ち上がろうとする少年を手で制した澁澤は、適度な空間を置いて隣に腰掛けた。
「今回の仕入れではそれなりに納得のいく本が手に入ってね。ついつい読み耽ってしまったよ」
「それは良かったです」
「この間は時間と労力をかけたわりに瓦落多ばかりだったからね」
 前回の収穫を思い出したのか、はたまた夜更かし故の疲労か、澁澤は小さく溜息を吐き、
「……そうそう、たまたま太宰君にぴったりの品も入手できたのだよ。悪いが彼に渡しておいてくれないか」
「太宰さんにですか? 構いませんよ」
 来て早々縁側に面した書斎へ向かう店主の背を、敦はなんとなしに眺める。

 敦がこの店の存在を知ったのは、元々太宰と澁澤が知人だったことが切欠だ。
 太宰から貰い受けた菓子が外国のもので物珍しさから入手経路を訊ねたのを発端に、紆余曲折を経て直接澁澤本人と会うようになったのは、丁度昨年の今頃である。
 探偵社員と古書肆という一見接点のなさそうな両者が知り合うに至った経緯は未だ訊けていないけれど、彼らは口を揃えて互いを”知人”だと強調する。
 しかし誰がどう見たって彼ら二人は”友人”同士だった。
 彼らがそれを否定すればするだけ、なんだか敦には大の大人がむきになっているように感じられてしまい、ちょっと楽しんでいるのは秘密だ。

 縁側へ戻ってきた澁澤の手には、色褪せた本が一冊。
「これだよ。年代物だが保存状態は存外良好だ」
 手渡された古書に視線を落として敦がまず最初に思ったのは、確かに太宰さんなら好きそう、だった。
 全く馴染みのない外国語のため題名は解読不可能だが、表紙に描かれた絵からして不穏な内容であることは瞬時に理解できる。少なくとも敦は頁を捲る気すら起きない。
 こんなの貰ったら、また仕事そっちのけで自殺に励むんじゃ……。
 そもそも”自殺に励む”なんて表現からして可笑しいのだけれども。

 今後の先輩社員の仕事ぶりについて敦が懸念していると、それを見越したかのように澁澤が口を開く。
「本と共に伝言も頼めるかい。”そこに記された方法ならばまず即死は確実だが、どれもこれも自殺とは名ばかりの拷問なので、実践は慎重に”とね……」
「あ、はい、了解です」
 敦は分かりやすく胸を撫で下ろした。
 清く他人に迷惑をかけず、何より苦しくない自殺方法を探しているあの奇天烈変梃奇奇怪怪変人が、拷問の如き苦行を自らに課すはずがない。
 それを解った上でこんな手土産を用意しているのだから、澁澤も中々に茶目っ気がある。

「まあ、その本、本当に太宰さんに差し上げるのですか?」
 盆を携えた鴻が再び縁側へやってきた。彼女はロングスカートに包まれた脚を綺麗に折り畳み、店主の後ろへ控える。
 盆の上には色とりどりの見慣れないお菓子と、湯気の立つお茶、麦茶ポットが載っている。
 鴻はそのうち熱い湯呑みを澁澤へ、敦には麦茶のお代わりを注ぎながら、
「龍彦さんたらその本を見つけた途端、太宰君にぴったりだって喜んで……。こちらに帰ってきてからも、いの一番に目を通していたんですよ。……そのうち太宰さんに嫌われたりしないでしょうか」
「いやあ、それは大丈夫だと思いますよ」
 確信を持って敦は答える。
 彼らに関してはこの程度、挨拶のようなものだろう。

 澁澤本人も、美しい恋人の不安など柳に風で、
「さあ、今日の本題はこの甘味だ。いつものように鴻が気に入ったものを購入してきたから、口に合わないということはないはずだが……。とりあえず食べてみてくれ」
「はい、頂きます!」
 敦は手初めに、一番手前のドライフルーツがふんだんに使われたクッキーを口に放り込んだ。
 帰国の度に土産を頂戴することを彼も初めは恐縮していたものの、菓子を食す敦を見つめる二人がどことなく嬉しそうだし、何より鏡花と一緒にどうぞと勧められては断る理由がなかった。

 一緒に探偵社で依頼をこなす年下の大人しい少女――泉鏡花も、彼ら二人の帰国時期が近づくとそわそわし始める。本当なら此度の来訪にも同伴願いたかったのだが、さすがにまだそれは恥ずかしいらしい。
 おそらく彼女は子ども扱いされることに慣れていないのだ。
 澁澤も鴻も、会う度に鏡花のことを猫可愛がりしているから。
 しかも三者が顔を合わせる場所はほぼ探偵社階下の喫茶うずまきのため、必然的に他の社員にも目撃されることになり、その様子を非常に微笑ましく見守られているのも鏡花の羞恥心に拍車をかけている。敦も歳相応な鏡花が見られて嬉しかったものだ。

「うーん、どれも美味しいです!」
 漆塗りの菓子器に詰められた十数種類の外国土産を一通り食べ終えた敦が、正直な感想を述べた。
 当初は当り外れが大きく、気を使っていたのが懐かしい。
 どうやら土産選びさえも店主の独断と偏見によるものだったようで、敦の心情を瞬時に見抜いた澁澤はすぐにその仕事を恋人に任せることにしたようだ。その後は一度も衝撃的な味には出会っていないので、鴻の舌は信頼できる。

「お口に合って良かったですわ。残りは鏡花ちゃんや会社の方と召し上がって下さいな」
「いつも有難うございます。鏡花ちゃんも社の皆も、いつも美味しいって喜んでますよ」
 敦が二度三度お辞儀をすると、鴻は気にするなと言わんばかりに首を横に振って、空になった澁澤の湯呑みを持ち奥へと消えていく。いつ見ても甲斐甲斐しい女性だ。

 残された男性陣は手持ち無沙汰になったので、毎度恒例の会話を始める。
「今回はどんな本があったんですか?」
「ふむ、そうだね。仕入れ先の得意分野ということもあるが、音楽家についての書籍が散見されたな」
「音楽家ですか? ええと、例えばベートーヴェンとかバッハとか、そういう?」
「無論、そういった世間的に一流と称される音楽家もあるが、今回はその影に隠れ日の目を見なかった人物のものが多い。天才に隠れた秀才といったところかな。世の中というのは得てしてそういうものだからね。例えば十八世紀初頭の――」

 そこからは訥々と澁澤の書籍談義が続き、敦は時折相槌を打ちながらただ耳を傾けていた。
 聞き手が太宰や鴻なら的確な質問なり意見が飛び交うのだろうが、いかんせん敦にはその内容のほとんどが理解できない。それでも毎回このやり取りをするのは、確実に自分の身になっているからだろう。頭に入らずとも耳が覚えているのか、会話の引き出しが増えている実感がある。それが切欠で事件解決に結び付いたこともあった。

「お二人とも、今日のお話はそのくらいでお開きにしましょう」
 小難しい顔をしていた男たちに声をかけたのは、浅黄色の風呂敷包を抱えた鴻だった。
「敦君、このあとご用がおありなのでしょう?」
「……あ、そうでした!」
 うっかりしていた敦は咄嗟に、澁澤の書斎にある骨董の和時計を確認する。すると約束までにはまだ多少の余裕があり安堵するが、そろそろ出ないと電車に間に合わない。ついつい澁澤の講義に夢中になって、用事をすっぽかすところであった。

「教えてくれて助かりました!」
「いえいえ、鏡花ちゃんとお買い物に行くのをとても楽しみにしていたのを、たまたま覚えていただけですから」
「うっ、そ、それは……」
「うふふ」
 鴻は狼狽える若者の初々しい姿に癒されつつ、
「さあ、このままだと本当に遅れてしまいますね。敦君、これを。お土産のお菓子の残りです。数が少ないものもありますから、それは鏡花ちゃんとこっそり楽しんでくださいね」
「分かりました。本当にいつも有難うございます! 今度はお土産抜きで遊びに来ますね!」
 澁澤と鴻両方に深くお辞儀をした敦は、受け取った風呂敷包と太宰への土産を小脇に抱えて立ち上がった。お菓子とはいえ五個六個と重なるとそれなりにずっしりとした重みを感じる。
 それから何度か背後を振り返って手を振りながら、敦は意気揚々と古書店を後にしたのだった。






「鴻」
 食器類を片付け終えた恋人に向けて澁澤が自らの膝を二度叩くと、彼女は糸で引っ張られているかのように、すとんとそこに座ってしまう。幼い頃から習慣付けられた、いわば条件反射だ。
 澁澤は横抱きにした素直な好い人の薄い腹に両手を回し、
「若者の成長は早いな。暫く見ない間に、どんどん逞しくなっていく。初めて会った時はまだ生まれたばかりの雛だったというのに、今ではすっかり巣立ってしまった」
「周りの人に恵まれたのでしょうね。勿論、龍彦さんもその中の一人ですよ」
「そうだろうか……?」
「あら、意外です。龍彦さんにも分からないことがあるのですね」

 鴻が心底感心したように澁澤を見上げると、彼は一瞬目を丸くしたもののすぐに元通りになって、
「ああ、それは当然ある。例えば――臍を曲げた君の機嫌がどうすれば直るのか、とかね」
「まあ……!」
 心外だとばかりに頬を膨らませた鴻だったが、次の瞬間には笑みが浮かんでおり、
「そういう龍彦さんはとっても分かりやすくて、非常に可愛らしいですけれど」
「そんなことを言うのは君くらいだ」
 つられて小さく笑みを溢した澁澤は、愛おしい恋人の額に軽く唇を落とした。
 それに鴻は擽ったそうに身を捩り、お返しとばかりに体をうんと伸ばして意外と逞しい首に口付ける。

「夏がすぐそこまで来ていますね」
 庭の一角に植えられた朝顔を認めて、ぽつりと鴻が呟く。
「今年は花が咲いているのを見られるでしょうか」
「君が見たいというなら、それまで渡航は中止するが」
「ええ、でも……そうしたら今度はひまわりも見たくなりますし、お祭りにだって行きたいです。花火大会も楽しそうですし、夏が終わったら今度は紅葉が綺麗ですわ」
「そうしている内にあっという間に一年が終わってしまうな」
「そうですね……」
 少しだけ残念そうに柳眉を下げる鴻を励ますように、澁澤は語りかける。

「今年が駄目なら来年がある。来年が無理なら再来年だ。限りがないとは言わないが、五年先だって五十年先だって、お供しよう」
「なんだかプロポーズみたい……」
「おや、そう受け取ってくれて構わないが」
 突然の告白にしばし呆然とした後、鴻は恥ずかしさのあまり俯いて、ああでもないこうでもないと唸る。
 反面、取り立てて表情に変化のない澁澤はそれを一頻り堪能し、
「それで、返事はくれないのかね」
「うう……、不束者ですが、宜しくお願い致します」
 澁澤は満足そうに一度大きく頷いた。

 徐々に冷静に現実を受け止められるようになってきた鴻は、幸せをかみ締めるように澁澤に抱きつく。
「あの時、地獄のような日常から私を助け出してくれた龍彦さんには今でも感謝でいっぱいです。一緒にいられるだけで十分だったのに、こんなに幸せで良いのでしょうか。なんだか怖いです」
「誰にでも幸せになる権利はある。それに君が今感じている幸福感は、君自身が築き上げ掴み取ったものだ。大体、私が傍にいてなにを怖れることがある?」
「ふふ……」
 常に自信に満ち溢れる彼の存在が羨ましいと同時に、鴻はこれ以上ないくらい心強く思っている。

 幼少期、貧民街で孤児たちと共に泥水を啜り命からがら生き長らえていたような自分を導き養育し、あらゆる知識を授けてくれた澁澤龍彦という男のことを、彼女は心の底から慕い愛している。心も体も、とっくの昔に彼女の全ては彼のものだった。

 自分の髪とは対照的な白髪を、鴻はなにげなく弄る。
 放っておくと手入れを怠る恋人の髪を保つのも、左側面に三つ編みをするのも彼女の仕事の一つだ。
 事の始まりは随分昔――彼らが共にいるようになってまだ幾年も経ていなかった時分に遡る。
 とはいえ理由は忘れてしまうほど大したことはなく、機嫌を損ねた鴻が意趣返しとしてやり始めただけだ。澁澤の方もそれで少女の気が済むのならとやりたいようにやらせていたら、いつの間にか外見的特徴トレードマークのようになっていた。
 そのことをふと思い出した鴻の頬は、自然と緩んでしまう。

「今日はこれからお買い物に付き合ってくださいな」
「おや、昨日買い込んだばかりではなかったかな」
「今夜のお夕飯は、うんと豪勢にしたい気分なんです。冷蔵庫の中だけでは足りません! 良いでしょう?」
「それは構わないが、南瓜だけは止してくれよ」
 見るからにげんなりとした恋人が愛らしくて、鴻は口に手を当てることも忘れて笑った。


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