後書き

 読了してくださった皆様、誠にありがとうございました。コンパクトに纏めたつもりでしたがいかがでしたでしょう。
 ただ、夢小説と謳いながら文ストキャラとの絡みが少ないし、オリキャラが出張ってたし、太宰さん異能使うどころか暗躍しかしてないし、ほぼ敦君目線で進めてしまったし。彼は勝手に動いてくれるキャラだから、どうしても楽なんですよ。
 何はともあれ早速ですが、登場した作家様の紹介やキャラクターについての独白をしたいと思います。(敬称略)



●北森鴻
 七年前に四十八歳の若さで亡くなった、私の大好きな小説家の一人です。性別は男性ですが、文ストで性別転換は常套みたいなので倣いました。遺作は同じく小説家の婚約者が引き継ぎ見事脱稿、発売となりましたが、訃報を知ったときは相当にショックでしたね……。
 主な作品としては「香菜里屋シリーズ」、「蓮丈那智フィールドファイル」、「佐月恭壱シリーズ」、「旗師・冬狐堂」などなど、数多くの名作を残しておられます。
 作中の異能力「花の下にて春死なむ」は、香菜里屋シリーズの作品名から拝借しました。西行の和歌「願わくは花の下にて春死なむその如月の望月の頃」が元になっています。本編の作品名もここから。異能は便利なだけではないようなので、ああいった制約を設けました。文ストを始めて鑑賞したときこの作品がピンときて、ずっと温めてた次第です。
 夢主が作中で傾国の美女設定なのは、上記シリーズのそれぞれの主役・蓮丈那智と宇佐美陶子(冬狐堂)が美貌の持ち主であることに起因しています。たしかドラマ放映もあったはず……。他にも北森氏の作品には美人さんが多いです。
 夢主はどんなに辛かろうが持ち前の大らかで純真な性格で乗り越えます。嫌なことや悩みごとは寝ると大抵忘れるから、幼少期の誘拐未遂とかは特に引きずってない。また生粋のお嬢様なのでどこか余裕があり、言動に嫌味がありません。両親や周囲の大人の育て方が良かった。甘やかしません。家事全般は祖母に仕込まれてそう。喧嘩とかもしたことないだろうな。写真だと近づき難いですが、実物は愛嬌があるので遠巻きにされることはありません。お友達も多いよ。顔に似合わず言いたいことははっきり言います。
 ちなみに実家を継ぐことになった兄(名前は鵠(くぐい))は一回り以上歳が離れてる。既婚者。鴻とは似ても似つかない屈強な大男でシスコン、父親似。母親も十分美人だけど、夢主はもはや遺伝子の奇跡。前世で随分、徳を積んだのでは。
 ぴっちぴちの二十歳。お酒の味はこれから与謝野先生の指導が入るはず。結構飲める口。体躯はヒールを履いていてもちびっ子マフィアより小さいですが、それでいて出るとこ出た女性らしい体つきをしています。野山を駆け回っていたので、足腰丈夫で病知らず。よく食べよく動く。私服はミニかミディアムのフレアワンピースが多く、レースや刺繍、ハイヒールが好きです。たまにロングも着るけど、がっつりスリットが入ってます。寝衣は夏がベビードール、冬はネグリジェ。ふわふわして動きやすい服が好きなんだと思う。本来は活動的な性格なので、たまにパンチラしたりしなかったり。組織にいたころは黒い服ばかりだったけど、本当は可愛らしい色とか柄が好き。



●内藤三國
 北森鴻著「蓮丈那智フィールドファイル」に登場する、那智先生の助手から拝借しました。どうでもいいこに関しては記憶力のいい男です。
 彼は異能を使って長らく大阪で悪さしてましたが、逃げた京都で北森に拾われ心を入れ替えます。幼い夢主の屈託ない笑顔にやられ、忠誠を誓ったともいう。中々にお転婆なお嬢様に手を焼きつつそれも可愛いと思ってる親馬鹿。短いスカートで走り回るのが心配。彼女の下着を見ると漏れなく目を潰されます。自分が認めた相手としか結婚は認めません。
 太宰さんの策略によって特務課所属となりましたが、本人は納得済み。攻撃的でない自分の異能での護衛に限界を感じていたこともあり、夢主を守るための最善策を取った結果です。
 歳は二十八、九か、もしかすれば既に三十路を超えてるかもしれない男やもめ。戸籍すら北森に拾われてから作ったので、正確な年齢や誕生日が自分でも分からない。大阪時代の名前は誰も知りません。彼も墓まで持っていく所存です。言葉に頻繁にカタカナが混ざるのは、ふいに顔を出しそうになる大阪弁を抑えるあまり、京都弁とも大阪弁とも標準語とも違うみょうちくりんなイントネーションになるから。
 彼のことを夢主だけが「ミクニ」とカタナカで呼ぶのは、北森氏の原作にそういった描写があるからです。
 ちなみに働いた悪事は、なりすましてお金を引き落としたり、家主のふりして家中の金品を物色したり等。見た目が被害者本人だから、訴えても相手にされない被害者が後を絶たず結構悪質。たぶん、非合法組織に縁ある人間を標的にして報復された。詰めの甘い男です。
 異能力「凶笑面」は「蓮丈那智――」の中の一作から。
 他人に化けるという、人を欺くにはうってつけの異能なので、これから特務課で安吾にこき使われることでしょう。



●児玉花外
 こちらは京都出身の詩人。始めは社会主義的詩を発表していましたが、幾度目かの発売禁止処分を受けてからは作風が一変。英雄詩や勇壮詩を多く手がけるようになります。明治大学の校歌を作詞したことでも有名です。
 異能力の「天風魔帆」は発禁処分を受けた詩集から。もうちょっと凝った能力にしてあげても良かったかな。あと花袋さんと名前が似てしまった。
 作中、彼や組員を狐と関連付けたのは、北森氏の作品でよく見かけるからです。
 血も涙もないような男ですが、たぶん彼にもいろいろあったはず。ずるずると長引く勢力争いに嫌気も差していたことでしょう。京都愛は本物で、どんな小さな寺社仏閣、文化的施設でも手厚く保護してました。
 簡単に敦君にやられたのは、取るに足らないと端から本気で相手にしていなかったからです。古都の人間であるという自負が慢心となって現れました。彼も人間ってことです。
 墜落した後は組員に回収されたはずですが、これからも勢力を維持していくのは大変でしょう。それもこれも全て太宰さんのせいです。まあ、彼なら新たに財源を確保し、生き残るのでは。
 それから「露葉組」という組織名ですが、これは児玉花外の処女詩集「風月万象」を共著で出版した「山本露葉」から。もう一人は「山田枯柳」という方なのですが、さすがに組織名に「枯」の字はなかろうと。
 菓子折り対決では夢主に遠く及ばず惨敗。舌がお上品。会合後、あの和三盆が廃棄処分となったのは彼の知るところではありません。
 勝手に京都の設定を付加してしまったけれど、原作で出てきたらどうしようと戦々恐々としております……。



 ※そして今後の展開ですが……。
 番外編といいますか仮想編といいますか、要は「あの時ああなっていたら――」といった話を書いていこうかと。キャラと絡ませたいんです! 書く時間が取れるかは分かりませんが、願望です。ちなみに年齢指定的な小説は書けませんので悪しからず。
 とりあえず、浮かんだものは随時ネタに投下していきたいと思います。



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