ゾーマの城〜本編完結まで 場面は変わり、そこはゾーマの城・内部。ここ、きっとドラクエツアーの特番とかではよく取り上げられてた場面かと思います。スクリーンに映し出されたキングヒドラ、そしてそれの相手をする一人の存在。 ?「バギクロス!!!」 剣を天へとさしのべ、叫ぶ。それを前へと放てば、スクリーンで強烈な雷撃が表現されます。スクリーンと実在する人間のコラボによって生まれる夢のような演出。スクリーンがありながらにして、その奥にいる人間が見えるというのは素晴らしい。 キングヒドラ、のけぞって苦しんでいますが、雷撃が止むと体を起こして、容赦なく相手に火の息を吐きかけます。キングヒドラの攻撃に苦悶の声をあげ、のたうち回る男。よろつきながらも立ち上がり、続いて叫びます。 ?「ライデイン!!!」 今度は竜巻が巻き起こり、キングヒドラを攻撃します。 …なあ。ところで、あそこで戦ってるの、オルテガじゃね。 と思っていたら、そこで遅れて、虹の橋を渡ってきた勇者たちが到着。 アリーナ「あれ!?あそこで、誰かが戦っているわ!!」 ここでもう勇者の様子がおかしいです。目を見開いて固まっています。 今までずっと、表情はたしかに変化していましたが、勇者がここまではっきりと動揺を示すのはありませんでした。 ヤンガス「アッシら以外に、こんなところまで来る人がいるなんて!?」 テリー「おい……あれは…あの構えは…」 ?「ライデイン!!!」 剣を上に突き出すように掲げ、叫ぶ男。それは、ゾーマの城に至るまでに勇者が放ってきたライデインやミナデインと、全く同じ動きをしてます。まさに勇者の動きそのもの。 雷を打たれてまた苦しむキングヒドラも、先ほどと同じように、お返しとばかりに強烈な炎を吐き出します。 勇者「っ!!!」(たまらなくなって飛び出そうとする) アリーナ「危ない!」 ヤンガス「だめでがす!!」 今にも泣きそうな顔で飛び出しそうになる勇者を、アリーナとヤンガス、そしてパノンが必死に押さえつけます。 テリー「あれは、勇者のみが唱えることのできる呪文、ライデイン…」 パノン「ってことは、まさか……!?」 ヤンガス「兄貴の親父さん……!?」 テリー「勇者・オルテガ!!」 オルテガ「ライデイン!!!」 先ほどよりも大きな、刃となった雷がキングヒドラに直撃。キングヒドラもまた炎を吐き出し、オルテガに大ダメージを負わせます。 勇者「うわあああああっ!!!!」 アリーナ「あっ、勇者だめ!――きゃあ!!」 たまらなくなった勇者、押さえつけてくる全員を突き飛ばし、オルテガにまっすぐに飛び出して行きました。 しかし、その相手にしていたキングヒドラはとうとう力つき、倒れていきます。ふらふらとおぼつかない足で振り向くオルテガは「そこに、誰かいるのか……?」と低い声で尋ねました。 オルテガ「もう……何も、見えぬ……何も……聞こえぬ……」 目の前に息子がいるというのに、認識していないオルテガ。何だよこの辛すぎる設定。息子が来たことくらい気づかせてやってくれよ……。 カラン、とオルテガの手から、先ほどまで振るっていた剣が滑り落ちます。そして、本人もまた、崩れ落ちる。勇者がぎりぎりのところでそれを抱き留め、抱える形で座り込みました。 オルテガは息子である勇者に必死にとりつきながら訴えます。 オルテガ「私は、アリアハンのオルテガ……そこにいる方よ……私には、息子と、妻がいる……もし、アリアハンという町を訪れることがあれば、私の家を訪ね、どうか…息子に、伝えて欲しい……平和な、世に、できなかった、この父を……許して欲しいと……」 勇者「っ……っ……!……あああああああぁぁぁぁあああ!!!!!」 そこにいるのがあなたの息子なんやで…!! しかし勇者、何もいえず首を横に振ることしか、できません。そして、勇者の腕の中で、オルテガは息絶えました。バラモスに敗れ、アレフガルドにおとされた後も、永久にここで戦い続けていた、父の亡骸を抱えて慟哭。他の仲間たちも何もいえず、俯いてしまいました。 しかし、一人、歩み出てくるのがテリー。 父の死に泣き崩れている勇者の後ろへと歩いて行き、おもむろに、下に落ちていたオルテガの剣を拾い上げ、天高く掲げました。 ひとしきり泣いた後、やっと勇者は立ち上がり、テリーと向き合います。そして、高く掲げられている剣を、意を決して掴み、受け取る。 父親の剣が、息子である勇者の手に渡った瞬間です。 そして場面が変わり、とうとうゾーマの前へ。 テリー「さあ……父親の剣で戦え!!!」 勇者「ああ!!!」 勇者がオルテガの剣をもって構えます。 勇者の台詞がない分、もうこの辺の場面だけでしびれる。やばい。 オルテガの死に仲間たちは怒りを露わにして、ゾーマと相対します。 いよいよゾーマ登場。 バラモスよりも圧倒的に怖いです。サイズ感変わらないのになぜ。特殊メイクの賜物でしょうか。怖い。超怖い。 ゾーマ「ついに来たか、勇者よ……貴様等は、なぜもがき、生きるのか。滅びこそ我が喜び。死にゆくものこそ美しい。さぁ、我が腕の中で、息絶えるが良い!」 何だゾーマの声分厚い。声怖い。超人間離れしてる。 もうそれだけで大魔王感あってやばい。怖い。もう、怖い。(こればっか) アリーナ「私たちだって、沢山戦って強くなったんだから!」 テリー「俺の剣の前に散るがいい」 ヤンガス「今日がお前の命日でげすよ!!」 パノン「あっ、私は戦いは専門外ですので、お手柔らかにお願いしますねぇ!」 こんなときまでぶれないパノン大好き。 さて、空中を(ワイヤーで)移動し始めたゾーマ。先手必勝、とアリーナがいち早く動きました。 アリーナ「いくわよ!!閃光烈火拳!!!はあ!!!」 爆発的なエネルギーを、ゾーマに炸裂させるアリーナ。ところが、えっ、と仲間が顔を強ばらせます。まもなく、アリーナが放ったはずのものがそのまま跳ね返ってきて、アリーナに炸裂。 アリーナ「きゃあああああっ!!!!」 勇者「アリーナ!!!」 勇者がはっきりと倒れ込んだアリーナの名を叫ぶ。鳥肌もの。 許さない、と次に動いたのはテリー。 テリー「いくぜ!!ジゴスパーク!!!はあ!!!!」 剣を構え、紫色の雷を豪快にゾーマにぶつけます。が、これもまたアリーナと全く同じで、そのまま跳ね返るとテリーにジゴスパークが炸裂しました。 テリー「ぐああああああっ!!!!」 勇者「テリー!!!」 どさりと倒れ込むテリー。となると、まあもう想像できるものですが。 ヤンガス、斧を構えてゾーマを見据え。 ヤンガス「いくでがすよぉ!!蒼天魔斬!!!ぬらぁあ!!!」 半透明の青い骸骨に、ヤンガスの力が蓄積され、放たれます。 が、それもやはりゾーマに跳ね返され、ヤンガス自身にぶつかりました。 ヤンガス「うぐああああっ!!」 勇者「ヤンガス!!!」 ゾーマ「ふははは。我が闇の衣に、そんなもの効かぬわ」 勇者「……っ…!」 そこで、パノンがはっと気づいたように取り出したのは、竜の女王からもらった光の玉。 パノン「そうだ、竜の女王にもらった光の玉を使うんです!!皆さん、力を貸してください!!」 パノンが光の玉をかざすと、とたんにステージが一気に明るくなりました。「何!?その光は…!」とゾーマが顔を覆う。 観客である私たちの手首についている白いのも、真っ白に光り輝きました。これがまた綺麗なんです!以上です!(説明の放棄)(さっきで学んだ) これで、闇の衣がはがされ、攻撃をそのまま跳ね返されるということはなくなりました。よろつきながらも立ち上がるテリー、アリーナ、ヤンガス。全員が再びゾーマに向かって刃を向けることに、こっちとしてはほっとします。勝負はここからだ、と息巻くアリーナ。良かった、頑張れみんな、頑張れみんな。 ゾーマ「くくくく。貴様らの検討を讃えよう。だが、無駄だ!!!」 瞬間、激しい力が彼らを襲います。 勇者以外の全員が声をあげて崩れ落ちます。なんと、闇の衣を剥がしたところで歯が立たないと言う様。嘘でしょ。だって闇の衣って一種の結界でしょ、それとったのにだめなの?ゾーマ強すぎません?ゲームでもべらぼうに強いけどライブツアーでもこんなに強いとは。 それでも震える足で立ち上がる彼ら。ですが、さっきまでよりも明らかに消耗しています。体が前のめりで倒れそうになりながら、各々の武器をゾーマに向けます。 アリーナ「もう一度……!みんなで、同時に!!」 ゾーマ「無駄だと言っている!!!」 もう一度、強大な力をぶつけられ倒れ込む仲間達。 勇者は驚きの表情を浮かべて周りを見回します。 ともに旅をしてきた全員が虫の息となっていることに信じられない思いで固まってしまう勇者。 アリーナ「そんな……全然歯が立たない、なんて……」 パノン「皆さん……だ、大丈夫、です、か……」 テリー「ああ……だが……戦えるかと、いうと……ぐぁ……」 ヤンガス「あ……兄、貴……」 一瞬、観客のブレスレットも血のような赤い光を放ち、それから凄い勢いでステージも光の玉も私たちのブレスレット、みるみる光の勢いを失っていきます。何とか光を保っているのは、パノンが持っている光の玉だけ。 ゆっくりと俯いていく勇者。その手から、オルテガの剣も落ちてしまいました。カランと音が響きます。そして座り込んでしまいました。 ゾーマ「目の前で起きていることが、信じられないか?お前の仲間はもはや、誰も戦うことはできぬ……さあ。勇者よ。お前も、アレフガルドの闇の一部となるが良い……」 まさに悪魔のささやき。言葉が妙に優しげで気持ち悪いです。本当に闇に誘ってるみたい。「そんなに闇の世界も悪くないぜ」的な。しかし、 アリーナ「まだよ……諦めないで……まだ、諦めないで……!私たちも、まだ、諦めない……!」 必死の声が暗闇に響きます。 アリーナ「やっと、わかった……私たちが、ここに、呼ばれた意味……私は……私自身の名前を掲げて、ここにいる……!勇者……あなたに、勇気を与えるために……!」 ヤンガス「そうでがす……あっしらは、別の世界にいて、名前を叫び、ここにいるでがす…」 テリー「そうだ……そして、俺達は……お前に出会った……この瞬間を、共に生きるために……お前の背負った運命を……共に背負う為に……!」 ふるえる腕で必死に体を起こそうとしているアリーナ。ヤンガスもテリーも、パノンも必死にもう一度立ち上がろうとしています。 テリー「勇者よ………立ち上がるんだ!!!!!」 テリーは大声で叫びます。「立ち上がるんだ」のところの声の気迫さはすさまじく、いろいろな思いが込められている。場内があまりの声にびりびりふるえてます。すごい。 ヤンガス「兄貴……自分の名前に恥じない選択を、するでがす……」 そこで、ふらふらと何とか立ち上がったパノン。 ぎこちなく笑顔を浮かべて、手を広げる。 パノン「私たちは、最後まで、あなたと一緒に戦います……」 しかし、あああ、と声をあげながら再び倒れ込みました。 それでも這いながら、片手に持った光の玉をかざし、叫ぶ。 パノン「勇者……あなた自身の名前に、恥じない生き方を……だから、勇者……思い出してください……あなたに思いを託した……全ての人々のことを!!!」 アリーナ「思い出して……!あなたの……あなただけの、名前を…!!」 ここで、勇者、父・オルテガの台詞を思い出します。 オルテガ「息子よ。自分の名前を忘れるな。苦しいときにこそ、自分の名前を思い出せ。名前は、最初からもって生まれてくるわけではない。名前は、自分で選ぶものではない。誰かに与えられたものであるということを忘れるな。決して、自分は独りではないということを!いつ!どんなときでもだ!!!」 ここがもう、ただただオルテガがお父さんすぎて……!! 本当に息子を大切に思っていたんだなと伝わってくる、凄く父としての威厳も分かる、そんな回想です。 オルテガにそんな言葉を言われたのは遠い昔、まだ旅に出ようなどとは考えられないほど幼い頃。(幼い勇者もいて、言葉の一つ一つにこくりこくりと頷く様が可愛かった) 言葉を思い出した勇者は、へたり込んだまま、ゆっくりと暗闇の中で、探るように手を動かし、傍らに落としていたオルテガの剣を手にとります。 そして、ゆっくり、ゆっくりと片手に剣を持った状態で立ち上がります。 勇者「俺の………名前は………」 \………ピピッ/ 妙なゲーム音。え、何だ?と見上げてみると、スクリーンにゲームの名前入力画面が表示されていました。 これは…演出が、憎すぎる…!!! ▼ なまえをいれてください 勇者「俺の……名前はっ……!」 \ピピッ。ピピピピピピ………/ 勇者はオルテガの剣の柄を両手で握り、顔の前に持ってきてゆっくり上へと掲げ始めました。 スクリーンの中で無数の名前が渦をまくように飛び回っています。 …これ後で知りましたが、自分が見に行く回に向けて、自分の名前を送信できるというシステムがあったんですね。全然知らなかった。超悔しい。後日になって過去の公演日に向けて自分の名前を送信しました。なにをやっとるんだ私は。 たろう、いちご、りんご、ゆめ、などなど観客によってつけられた無数の勇者の名前がぐるんぐるん回っていきます。やがてそれは、スクリーンの中心に集まり、真っ白な光を放ちました。 勇者「俺の……!名前はあああああ!!!!」 絶叫して、勇者が剣を天高く掲げた、その瞬間!!! 舞台全体がライトアップ。その周囲に現れたのは……なんと!DQ1〜DQ10の、歴代の勇者たち全員!中心のステージを囲うように立っています!!! 白い光によって、全員の力が勇者たちに注がれたのでしょうか。 倒れて動けなくなっていたアリーナ、テリー、ヤンガス、パノンが立ち上がります。 アリーナ「奇跡よ!歴代の勇者たちが、時空をこえて集まってくれたわ!!」 テリー「奇跡だ!!奇跡が起きたんだ!!」 ゾーマ「バカな!!そんな、そんなことが!!!」 大事なことは何度でも言うテリーさん。 勇者の周りに寄り添うように、四方で倒れていたテリー、アリーナ、パノン、ヤンガスが歩いていて、武器を構えます。 重厚な甲冑を身にまとうDQ1の主人公が、剣を高く掲げます。 1主「勇気という剣を持ち、闇に立ち向かう者……それを人は、勇者≠ニ呼ぶ。闇を切り裂く光をその手に!」 勇者「皆の力を貸してくれ……皆の願いを…俺に!!!」 1主「さあ、今こそ、我らの力を一つに!!」 すると、観客全員のブレスレットが真っ白な光を放ち、まばゆいほどの光で会場全体が満たされました。 光を鬱陶しそうにしているゾーマが、しかし、と嗜虐的な笑みで。 ゾーマ「光がある限り、闇は、存在し続ける……おまえたち人間の存在が、また、闇を生み出すのだ。そして、世界はまた、闇に覆い尽くされることになろう……!」 しかし、そのゾーマの言葉を即座に強い声で否定しにかかります。 アリーナ「そんなことはさせない!!私たちの力で、この世から闇の力を消し去ってみせる!」(拳を構え臨戦態勢) テリー「その通りだ。どんなに難しいことだって、諦めたら終わりだ!!!」(剣を構え、腰を低くして臨戦態勢) パノン「人間は、そんなに愚かな生き物ではありませんよぉ!」(くるっと周り得意げに笑い) ヤンガス「そうでがすよね!兄貴ぃ!!!」(斧を構えて臨戦態勢) 勇者「これで終わりだ!!!ギガブレイク!!!!!」 全員の力をあわせ、同時に各々の武器を振り下ろします。すさまじい爆音と雷撃。ゾーマはその攻撃にとうとう屈しました。 ここでスーッと後ろにワイヤーで移動、ゾーマはスタッフの方に優しくキャッチされて回収されていきます。お疲れさま、ゾーマ。 舞台の上からキャストが消えていき。 トルネコが登場。ここで、ああ、いよいよ終わりか、という空気。 トルネコ「……こうして、世界は平和に包まれました。見てください、幸せそうな、あの親子の姿を」 示す先にはなるほど、幸せそうな親子の姿がたしかにあります。ライトアップされていて、ほんわかしていて、とても穏やか。 そして、この世界を救った勇者たちは、皆、それぞれの世界に戻っていったと語られます。テリー、アリーナ、ヤンガス、パノンは、勇者とどんな風にお別れをしたんでしょうか。とても気になります。 トルネコ「皆さんも、これから、人生の中できっと、苦しいときや辛いときが、あると思います。そんな冒険が舞っているはずです。しかし、辛いときこそ、自分の名前を思い出してください。皆さんは、独りではないのですから」 前へ 次へ 目次 |