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Leontius×Eleuseus







 ばさりと寝台が軋むたびに髪が乱れて、毛先が頬をくすぐっている。それが先程から気になって仕方ない。
「ぁっ、ふ……ッ」
 ふわふわと熱し足りない快楽の中、エレフは身を捩った。覆いかぶさったレオンが与える律動は湿った音を増しているのに、短く喘いでいるうちに渇いた喉や鼻がむず痒くなってくる。
「エレフ?」
「ッ、出そ……ッ」
 と言っても何て事はない。くしゃみだが。
 快楽とは違うもどかしさに首を振ると、些細な変化を見咎めてレオンが不思議そうに名を呼んだ。さすがに情事の最中にどうかと躊躇したけれど、生理的な欲求には逆らえない。
 慌てて息を止めようとしたが結局は無駄で、くしゅっ、と体が縮こまった。
「んぁ……ッ!?」
 だが上擦った声でびくりと震え、被害を受けたのは向かいの獅子の方だった。くしゃみの拍子に胎内にある彼を強く締め付けてしまったらしく、唐突な刺激に感じたのか、辛そうに眉を下げてしまう。
「っく……ぁん…ッ」
 どくんと早すぎる吐精。そのまま腰を震わせて達してしまうレオンの、子犬が鳴いたような弱い吐息をエレフは半ば呆然として見上げる。大概はこちらの余裕がないまま終わってしまう行為だったから、突然の快楽に戸惑っている彼の幼い表情が物珍しかった。もしかしたら初めてかもしれない。
 断続的な射精が終わると、頬を赤らめたレオンが罰が悪そうにこちらを見る。しかられた子供のようだった。
「す、すまない……中に出してしまったな」
「……いや……」
「さすがに驚いた。風邪でもひいたか?」
「………」
「……どうしたのだ、急に真顔になって」
 エレフは沈黙したまま、じっと相手の顔を見つめていた。叩きつけられた白濁が体の奥から火をくすぶらせてはいたが、普段は余裕ぶった温雅なレオンの目が先程の事故で薄く潤んでいるままだと分かると、快楽を上回る衝動がざわりと湧き上がってくる。
「何か……今の、面白かった」
「ん?」
「レオン……」
 押し倒された体勢を意に介さず、狙いを定めるようにエレフは静かに名を呼んだ。伸ばされた腕がまさか自分を狙う牙とは知らず、レオンは珍しく積極的な相手に喜んで照れたように微笑する。狼は舌なめずりをするように、そんな獅子の様子をじっと眺めていた。
 さて、より情欲に濡れるのはどちらの獣だろう?








END.

何かに目覚めたエレフ。


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