「うっわー、外あづーい!」
「きゃー!お店の中が涼しかったから、余計に暑ーい!」
「なんで冷房の効いた場所から外に出ると、無性に叫びたくなるんだろうな!」
「ね!」
「ところでミーシャ」
「ん?」
「むしろ店ん中だと寒そうだったけど、もう大丈夫?」
「あのくらい平気よ。やっぱりアイス屋さんだから特に冷えてるのね。他のお店よりもクーラーの効きが凄くて」
「あ。ケーキ、俺が持つよ」
「大丈夫、自分で持ちたいから」
「そんな事言って、浮かれてべしゃっとするなよー?」
「ふふ、気をつけます!」
「うむ、よかろう、気をつけたまえ!」
「はーい!……そうだ、オリオン知ってる?」
「何?」
「アイスって賞味期限がないんですって。保存食にしては可愛すぎるけど、ずっと冷凍庫にしまっておけば何年も持つのよ」
「へえ、ちょっとSFみたいだな」
「SF?」
「コールドスリープって奴。よく映画とかであるじゃん」
「……ん、そうね」
「分かった?」
「たぶん分かった……かな?」
「そういう事にしておこう。しかし賞味期限がないからって、誕生日でもないのにホールでアイスケーキを買うのは、さすがミーシャんちだよなぁ。いくら人数が多いとは言え、一日じゃ食いきれないぞ、これ」
「暑いからきっと大丈夫よ。特にレオン兄様は甘党だもの。喜んで食べてくれるわ。せっかく来たんだから皆にお土産を買っていきたいもん」
「そう言えば俺、今年になってから初めて来たけど、もしかしてメニュー増えてた?」
「うん。あ、そうだ、チラシをもらって来たの!」
「ミーシャ、こういう時はマメね」
「こういう時もよ。えっと……アイスクリームクレープぷれみあむに……ここなっつ・みるくちょこ、……今月のフレーバーが……ブラッ、ド・オレンジ・ぱっしょんそるべ?」
「ははっ、噛み噛みだなぁ。エレフみたい」
「本当だ、ふふっ」
「ところで、やっぱりケーキ、俺が持ちたいんだけど」
「?」
「ほら貸した貸したー!」
「あ、オリオン!」
「はーい、残念、届かないですね!やっぱ地味に涼しいかも!ドライアイスのせいかな、冷気が漏れてくるー!」
「振り回しちゃ駄目よ!」
「うっす、気をつけます!うっわ、やばい頬ずりしたい、この箱」
「もー…」
「はは、ごめん冗談。本命はこっち」
「え?」
「そっち、空いたでしょ。お手をどうぞ?」
「…………」
「……いや、何で今更そこで躊躇いますかねミーシャさん」
「……だって」
「手、繋ぎましょ?」
「うー…」
「はい、右手頂きました!ありがたき幸せ!家宝にします!」
「たっ……大切にするんですよ!」
「ははっ、ミーシャ可愛いー、うりうりしたーい!」
「もー」
「指、絡めていい?」
「そういうのはいちいち聞かないの!」
「はーい」
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