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【Definition of person―ある者の定義―】
It is alive is simply breath-taking and what you need to eat?

I wonder if that living can have their intention and it would move.

If your not living neither he nor she will if its definition is the latter.

                    ―――――――――

 険しく切り立った岩山の周囲には、幾匹もの怪人鳥ハーピーが旋回している。
 その上半身はヒトとなんら変わりないが、下半身はまさしく鳥のそれだった。背中に生やす二対の翼と、
 腕に付いた翼を器用に使い、彼らは凄まじい勢いで空を飛ぶことが出来る。羽ばたく力や、
 飛び立つその速さだけなら、他の魔物には負けないだろう。不気味な鳴き声が反響するその峡谷は、
 険しい岩山に囲まれ、ヒトはおろか、鳥や獣でさえも、容易には越えられない。

 その峡谷は、この辺りに巣食う怪人鳥ハーピー達の縄張りであった。
 その中でも、とりわけ一番高い岩山の頂上付近には、比較的大きな洞窟がある。

 その入口を塞ぐ様に立つのは、この峡谷に住む怪人鳥の群れ長だった。
 その男の手足はすらりと長く、流麗なその身体は、水禽の様な優美な雰囲気を纏う。
 しかし、その上半身は長として、常に上空を飛び回っている為か、女のように華やかな顔立ちに反して、
 程良く筋肉質ではあった。他の怪人鳥ハーピーの例に漏れず、その下半身は黒に近い、
 紫色の羽毛に包まれている。その背中には、同じ色の大きな翼を四枚、左腕にも翼を持っていた。
 しかし、その右腕は肩から先が無い。

 その群れ長はヒースコートといい、魔将の地位を得ている者でもある。そんな彼が、
 金色の瞳で鋭く見つめているのは、橋のように岩の突起と突起を繋ぐ、岩の上に膝を付く二、三匹の雄と雌達、
 そして小さな子供達であった。彼女達の周囲には、大きな鳥の魔物が旋回している。
 鷲のように大柄で、先端が鋭く曲がった嘴を持ち、太い足は猛禽類のようだ。

 朝日が昇り、近隣の村々では、人間達が活動を始めている時間帯だ。
 ヒースコートは集まった雌と子供、鳥達を確認して、口を開いた。

「アンタ達、生まれてからもう二ヶ月経ったでしょ。今日は、アンタ達にも狩りに同行してもらうからね」

 怪人鳥の繁殖期は弥生マルスから皐月メイまでの三ヶ月。
 卵の大きさは、だいたい二十センチ程。ヒースコートと番になることを、認められた数匹の雌だけが卵を産み落とし、
 約三十日抱卵し続ける。孵化して生まれた子供は、一ヶ月は巣の中で、守られながら過ごす。
 そして、二ヶ月経てば狩りに同行し、自ら餌を狩り、食べることを学ぶ。無事に一年間育てば、
 大人として扱われるようになる。雌であればそのまま巣に残り続けるが、雄ともなれば一年後には群れを出て、
 別の群れに乗り込み、巣の奪い合いを始める。

 勿論、ヒースコートもこの群れに乗り込んできたクチである。群れ長になろうとするには、
 そこにいた雄を全て負かさなければならない。その当時、この群れを率いていた群れ長と戦い、
 果敢に攻め続け、当時の群れ長をこの岩山から突き落とし、彼は魔力結晶を奪った。

 そして、巣と群れを乗っ取ってから、数百年は経とうとしている。その間に、魔将の地位も得て、
 襲い来る他の雄を蹴散らし、縄張りと群れ長の地位を、ヒースコートは守り続けている。

 ちなみに怪人鳥ハーピーの出生率は、圧倒的に雌が多い。そして、寒さには弱い種族である為、冬のあいだは南下し、
 春になればまた、北へと戻っていく。その為、彼らは拠点となる巣を、幾つも持っていた。

「じゃあ、行くよ。ついてらっしゃい」

 そう言い切ると同時に、ヒースコートは力強く背中と腕の翼を羽ばたかせ、岩山から高速で下降する。
 集まっていた怪人鳥ハーピーと鳥の魔物が、彼に続いて下降し始める。
 風を切り、まるで雷のような速さで飛ぶヒースコートの姿が、瞬く間にどんどん小さくなっていく。

「流石ヒースコート様。あの飛行速度に並ぶ者が、いないのも頷ける」
「ええ。急がないと、本当に見失ってしまうわ」

 残された仲間達はそんな会話をしながら、見失わないように必死で追いかけていた。



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