01


【Complication of a person―ある人物の錯綜―】
The man is pure in a way.
Paint yourself in happiness of true happiness and believe, does not stop.
Notice to that ideal it is selfish, and only selling it to others.
Only his own ideals that are so stick, stab. The man sees before.
Watching the road had passed through at any time, walk down the street in a rear-facing.
Without even know are moving back, Guy simply running feet only
                         ―――――――――

 そこは、昼時になるとアストワースの町民が、こぞって利用する大衆食堂だった。
 味はいまいちだが、安価で量も多いからである。しかも、たった一コインで済むのだ。
 あまり掃除の行き届いていない壁には、手書きのメニューがぶら下がっている。狭い店内には、
 長方形の木のテーブルが所狭しに並んでおり、殆ど満席だ。あちらこちらで、たくさんの話し声が溢れ返り、
 雑音のように響いていて、スムーズに会話をすることも一苦労だ。

「だからリアを見たんだって!」

 その為、ニルス・カーターは、必要以上に大きな声を上げなければならなかった。
 ぐっと、隣に座るエリック・スレイマンに顔を近付ける。魚肉を切り分け、それを口に運びながら、

「見間違いじゃないの?」

 と、エリックが淡々と返す。

「あと、顔近付けないで。唾飛んでくる。この距離なら、ギリギリ聞こえるんだから」

 そう言われて、ニルスはエリックから離れた。木製の皿には、ニルスが頼んだどろどろのオートミールが入っている。
 スプーンで具材の木の実を突っつきながら、ニルスがもう一度言った。

「リアを見たんだよ」
「でも、距離があったから、よく見えなかったんだろ」

 エリックがまた、淡々と返してくる。そして、顔を顰めた。
 口を不可思議に動かして、それから掌に吐き出したのは、大きな骨だ。
 喉に刺さる所だった、と小さく呟く。それを苛々したように見ながら、ニルスが言った。

「でもライフル持ってたし、髪も金色で、背だって低かったんだ」
「金髪で小さい人なんて幾らでもいるよ。ライフルだって、くすんでいく奴もいるんだ。
それだけで、リアだって言われてもね」

 何らかの事情で全滅した、魔物ハンターの部隊から、武器や防具を剥ぎ取る人間はいた。
 魔物から身を守る為に、武器を手にする旅人や、売り捌いて金に換えようとする者など、その理由は様々だ。
 魔物との戦闘跡に赴き、そこに転がる魔力結晶を拾い上げる、無謀な者もいた。

「だいたい、リアが所属した部隊は二年前に”失踪”してるんだ。
スコット副隊長……スコットさんだけを残してね」
「それは……」

 ニルスの反論を許さないように、エリックは矢継ぎ早に言った。

「たまたま、その近くを通りかかった、別の支部が戦闘の痕跡を見つけて、
魔物と交戦して大敗したって、そういう話になっただろ。防具や衣類が、僅かに残っていたから。
誰も、その部隊に何があったのか知らないし、今となっては調べようとすることもない。
リアも他のハンターも、皆もう過去の人だ。形だけとはいえ、葬儀も済ませたんだ。
いなくなった奴のこと、いちいち気にしちゃいられないだろ」

 やや乱雑に、エリックはテーブルに食べ終えた食器を重ねる。
 黒い目で睨むニルスを、気にすることもなく、エリックは告げた。

「午後から、確認事項があるんだから、おまえも早く来いよ」

 椅子から立ち上がったエリックは、「お勘定!」と、周囲の声に負けないように声を張り上げて、食堂の出口へ向かう。
 その背中を見て、ニルスは小さく鼻を鳴らした。やり場を失った苛立ちをぶつけるように、皿を掴むと、
 オートミールを口の中に掻き込んでいく。多少噎せながら、食べ終えたニルスは、大きな音を立てて皿をテーブルに置く。
 その乱暴な音に、近くにいた客が驚いたように、こちらを見てきた。



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