Story6
ある男の会話より。
そうだなあ。北から下ってくる魔物が多いね。
みんな怯えて、逃げてくる。最初は、本当に弱い魔物が南に向かっていたけどさ。
最近は、少し力の強い魔物ですら、南に逃げていくんだよ。こいつぁ、良くないことが起こるね。
え? なんで、そんなこと分かるんだって?
それは、オレの勘がそう言っているのさ。伊達に長生きしちゃいないよ。
嫌な感じがしてくるだろ。ああ、おまえさんにゃ分からないか。
これから、もっと強い魔物でさえ奴から逃げてくる。だからといって、北の町に行けば安全なわけでもない。
北の町は、特に被害が大きくなるだろうからね。
まあ何が言いたいかっていうと、用心したって、どこへ逃げたって、人間に安全な場所なんて無いんだから、
それなら、このまま見知った故郷と一緒に朽ちるのも良いんじゃないかってこと。
あれ、おまえさんどこ行くんだ。
おや、馬鹿呼ばわりときたもんだ。ああ、怒らせちゃったな。でもまあ、全然知らない奴だし。別にいいか。
[ 6/29 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]