Story3


ある男の執着より。

僕は一人の少女に恋をした。

人間と魔物、どちらからも嫌われていた僕は、少女の笑顔に恋をした。

彼女は、たった一度だけ、僕に微笑みかけてくれたのだ。

僕は、少女を何よりも愛おしく思った。僕は、少女の全てが欲しいと思った。

嗚呼、その笑顔を、優しさを、仕草を、全て僕にだけ見せてくれたなら良かったのに!
そして、少女は女性へと変わり、別の男と結婚してしまった。

僕は無性に腹が立ち、そして同じくらい悲しくなった。

一人、部屋の中で泣き続けていた僕は、ある結論に辿り着いた。それは、素晴らしい考えだった。

あの時の少女を、僕が生涯を通じて、美しいと思った記憶の少女を、また作ればいい。

僕はその記憶の、更に細かい所まで必死で思い出して、長い時間を掛けて、ようやく一体の少女人形を完成させた。

嗚呼、これだ! この顔だ! 髪も瞳も唇も、紛れもなくあの少女そのものだ!

なんと可憐なのだろう! 愛している! 僕は君を、愛している!

さあ、語ろう。もう僕達二人を邪魔する者はいない。

少女人形よ、僕が愛した少女の姿をした人形よ! さあ! 僕とお喋りしておくれ!



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