Story2
ある少年の話より。
少年は一人でした。
同じ年頃の子供は、みんな父か母と一緒にいましたが、少年には父も母もいませんでした。
けれども、少年の傍には、ヒツジとイヌが一緒にいました。
ヒツジが、「寝る前には、必ず歯を磨くのよ」と言います。「怖いときは、頼ってね」と、イヌが言います。
少年には、ヒツジとイヌが一緒にいたので、寂しくありませんでした。
けれども、村が大火に包まれた時。ヒツジとイヌは燃えて無くなってしまいました。
切れ端すら残らなかったので、少年は、本当に一人ぼっちになってしまい、寂しくなりました。
少年は、家族を求めました。少年は、寂しくて泣きました。少年は、怖くて泣きました。
少年は、たった一夜にして全てを失い、それに対して、何も出来なかった自分が悲しくて、悔しくて、泣きました。
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