Story1


ある女の独白より。

私はいつも、その子を連れて歩いていました。

人々が深い眠りに就いていて、魔物達の活動も活発ではない時間帯。

それを、彼は誰時というのだと、私は知っていました。

まだ、年端の行かない子供を、そんな時間に連れて歩くなんて。

大抵の人は、私を非難するでしょう。

けれども、私達はその時間帯にしか、他所へ移れなかったのです。

私は、私はただ……ただ、その子を幸せにしたかったのです。

愛される幸せを、人並みの幸せを、あの子に与えてあげたかったのです。

私が愛してもらったように、私が愛されてきたように。

あの子にも、同じ幸せを与えてあげたかったのです。

けれども、それはただの思い上がりでした。私の傲慢でした。

呪いを持って生まれたその子を、私では幸せに出来なかったのです。



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