Story10
ある青年の憎悪より
殺してやる。それは、他者へと向けた呪いの言葉だった。
人へ向かう、明らかな敵意。暗い憎悪。悍ましい殺意。
その呪いに塗れた黒い言葉は、瞬く間に彼の心を蝕んだ。
目に映る者が、全て憎く思えた。
痛みも悲しみもなく、ただ、上限知らずに膨れ上がる殺意が、黒い力となって彼から溢れ出す。
真っ赤に染まった目に、周りの人間達はどよめき出した。
それは、寒い冬の夜のことであった。
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