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【Memories of a man−ある青年の記憶−】
So when you were doing. It was, why? He had no memory.
Can he remember woman killed cruelly. And the sight of men like a woman.
Dazed tyrant had he sat alone during the bloody corpse of Sun sea.
Or better yet, just worn out this. Rescued so I thought he was a woman.
However, I wonder if her by the hand and led me was really helping the world.
Still, he believes that salvation then was undeniably salvation.
Even if was hand invites you into the darkness it's new.
                               
                       ――――――――――――――

 師走《デサンブル》のある日。非常によく冷える日で、空はずっと曇っていた。
 雪が降りそうな天気の中を、ディックはティナと一緒に、北に向けて歩いていた。
 ディックは黒い首巻きを、もう一周回す。

――寒いな。

 鼻を啜りながら、ディックが溜息を吐く。白い吐息が虚空に霧散していった。
 二人は、ウィットエッジという村を目指して歩いていた。ギルクォードとは、十キロ程離れている山村で、
 その人口の少なさから、自警団も二人しかいない。その為、ディックが二時間半掛けて魔物討伐に趣いていた。
 事の発端は昨日に遡る。

 オボロの喫茶店で、

「きのう、おてがみ、とどいた、ですの」

 と、ティナが卓上に出してきたのは、一通の手紙である。
 茶色い封筒は開けられており、中から依頼書を取り出したディックは、その内容に目を通した。
 ティナはテーブル席に着いていた女性客に呼ばれ、ちょこちょこと走っていく。
 リアトリスが、アーリットのイェーガー夫妻と打ち解けているように、彼女もまた、
 オボロや常連客とも仲良くしているようだ。

 黒いインクで書かれていた内容を要約すると、ウィットエッジに魔物が現れたので、
それを退治して欲しいとのことだった。正確には、魔物かどうかは判別出来ないが、
 近隣の山に次々と人間が足を踏み入れ、以来誰一人戻ってこないというものだ。

「オボロ。3番テーブル、コーヒー、ふたつ、ですの」

 ティナがカウンターに身を乗り出しながら、オボロに顔を近付けて言う。
 丸い椅子に両膝を乗せて、膝立ちをしていた。それでも、ディックより頭の位置は低い。

「了解」

 ニコッと笑い掛けて、オボロはドリッパーにフィルターをセットする。そして、そこにミルで挽いた、コーヒーを入れた。
 円を描くように、ゆっくりと湯を回し入れていく。しばらくすると、中に入っていたコーヒーの粉が、
 ぶくぶくと膨らんでいく。それから、ふんわりとしたコーヒーの特有の、コクのある香りが立ち込めてきた。

「まあでも、皆そういう異常は、大抵魔物が原因だと思ってるんだよ」

 ディックは別紙として入っていた依頼書に、さっと目を通した。
 人々は魔物退治を依頼する時、魔物ハンターへ依頼書というものを作成し、渡している。
 依頼書を差し出す日付と共に、依頼主の名前や住所。そして、分かる範囲での魔物の特徴や、
 被害の状況などが細かく記入されていた。その最後には、依頼を達成した際に支払う金額の予算が記されている。

 二人分のコーヒーを乗せたトレーを、オボロはカウンターに置いた。
 ティナがそれを持って、テーブル席へと運んでいく。

「ディック、どうするね」

 なんとなく、危なっかしいティナの様子を見ていたディックは、その言葉でオボロに向き直った。

「別に、いいですよ」

 そう答えながら、ディックは依頼書の一番下の欄に、自分の名前を記入する。綺麗な筆跡であった。
 この時代、村や町にいる自警団が手紙の配達なども請け負っている。馬に乗り、武器を携えて、
 数十分から長ければ何日も掛けて町村を目指す。そのため、其々人の居住区には、自警団が最低でも二人いた。
 魔物から町村を守る役と、こうして町から町へと配達物を届ける役だ。もっと大きな町になれば、
 人数もそれなりに集まっているので、一人や二人いなくなった所で、警備状態に支障はない。



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