01


【Intention of the person―ある者の意向―】
On the sacrifice of anyone, if you survived.
The guilt in the face to choose death over and over again.
To eternal sleep victims who still remembered by its attempts to hinder.
If they are made, no matter how hard have to continue living.
If it is painful, it survived is a late penalty.
To continue receiving the punishment to live.
Life is the life that bear some blame.
In innocent lives on and continues to burn in the fire, atonement for go live.
                               ―――――――

 弥生マルスに入ったことで、気温はぐっと過ごし易くなった。
 ギルクォードは、相変わらず賑やかだ。特に今日は、国を上げて行われる、洗礼の日エアヴェクスなので、町中はてんやわんやしている。

「ねえねえ、ディック」

 と、ティナが声を掛けてくる。

「どうして、みんな、はしゃいでいる、ですの?」
洗礼の日エアヴェクスだからだよ」

 そう答えれば、予想通りの質問が返ってきた。

「それは、なんですの?」
「子供が、大人になったと認められる日のことだ。毎年、、土筆の日ホーステイルにある行事なんだけど……
そういえば、リアは去年十五だったけど、今年なのかな」

 洗礼の日エアヴェクスは、その年で十六になる子供が対象となる。
 ヴェステルブルグで、大人になったと認められるのは、十六歳以上だった。
 大人なので、当然飲酒や喫煙、就職することも出来る。とはいえ、魔物の多いこの時代。
 飲酒や喫煙はともかく、成人に差し掛からないうちに、家族を失い、働く子供は多い。
 リアトリスもまた、そうした子供の一人だったのだ。

「ディックも、うけた、こと、ある、ですの?」
「……」

 そうした行事が出来たのは、ほんの八十年前からだ。王族や貴族が、そうした儀式を行っているのを、
 庶民が真似したことが始まりだ。当時は、色々とややこしかったようだが、今ではそのようなこともなく、
 国を上げて成人になる者達を称える一日となっている。

 ディックが十六歳の時。そんな行事など、ある筈が無かった。
 例えあったとしても、その頃には既にシェリーと一緒にいたので、参加することも無かっただろう。

「俺は、受けていないよ」
「ティナも、うけたい、ですの」

 既にディックへの興味は薄れ、そう呟くティナをディックは見た。
 彼女は機械人形なので、成長することはない。ずっと十歳前後の少女の姿のままだ。
 ティナがこの儀式の日を受けることは、これからも無い。

 ティナを連れて、アーリットへと戻ってきたディックは、その入口の扉を開けた。
 ディックにぶつかりながら、ティナが我先にも駆け込んでいく。

「グラニット!」
「あらあら、ティナちゃん。いらっしゃい」

 毎年、洗礼の日エアヴェクスは、アーリットで行われていた。
 ギルクォードで大きな酒場といえば、アーリットである。親がこの店を利用しており、
 上の兄弟が此処で開かれた祝賀会に参加し、そのまま下の兄弟も……という流れで、
 成人となった子供達が、毎年訪れるのだ。この日は、非常に賑やかになる。酒代や食事代は、
 成人する子供を持つ家族からの寄付となる。毎年のことだった。

「ああ、ディック。毎年ありがとうね」
「いえ。居候させて貰っている身ですから、このくらいは……」

 そう答えるディックの手には、商隊から買い込んだ食料の入った、大きな紙袋が幾つも抱えられている。
 それらをテーブルの上に乗せると、隣に戻ってきたティナも、持っていた紙袋を三つ乗せた。

「にもつ、おおかった、ですの」
「今日は、特別な日だからね。うんと作らなきゃ。酒の仕込みもばっちりさね」

 でっぷりとした腰に両手を当てて、グラニットは快活に笑った。

「今年はリア坊もいるし、アンタも祝ってやんなよ」
「はい」

 グラニットの言葉に、ディックは曖昧に微笑んだ。正直、リアトリス以外の子供とは関わりが無いので、
 面倒だという気持ちが強い。けれども、グラニットの手前そうしたことは言えず、
 彼女の言葉を無碍にも出来ない。少しだけ顔を出して、そっと立ち去ろう。ディックはそう思った。
 どうせ、食事をして酒を浴びれば、皆わけの分からない状態になり、そのまま酔い潰れて眠るのだ。

「そんで、主役のリア坊は何処行ったんだ?」

 カウンターの奥から、木製のコップが大量に詰まった木箱を抱えて、
 立ち上がったイェーガーが、グラニットに尋ねた。

「嫌だよ、アンタ。昨日、ル・コートの村に戻ったじゃないか」
「ああ、そうだったな。夜までには帰るって、行っていたっけ」
「そうだよ。さあ、ディック。料理の仕込み、手伝っておくれよ」

 早く、早く。そう急かすグラニットに連れられて、ディックは厨房へと向かった。
 その後ろをティナも付いて歩く。料理などしたことが無かったが、イェーガー夫妻の店で、
 毎年このような手伝いをするうちに、なんとなく料理の仕方が分かってきた。
 とはいえ、一人で作れるかと聞かれれば、それは少し悩む所ではある。



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