Bell X Sharla
「はい、これ」
可愛らしい、ピンクのリボンでラッピングしたクッキーを手渡す。
ちなみにラッピング自体はシャアラが喜ぶかな、と思い、中身を買ったお店で頼んだ。
その時の女性店員の目線は、少し、恥ずかしかったけど。
「っ、ありがとうっ!」
でも、頬を染めて喜ぶシャアラの姿を見れたから、それだけでもう良かったかな、と思う。
我ながら、ちょっと現金だ。
「嬉しいわ……」
シャアラはそう言って、安物のクッキーを本当に大事そうに抱える。
それを見て、もう少しくらい奮発すれば良かったなぁ、と後悔した。
何しろデパートのオススメ商品だけあって、かなりの安上がりだったから。
「ごめん。あんまりいい物じゃないけど……」
「何言ってるの。あたしはベルのその気持ちだけでも充分よ」
「……ありがとう」
笑みがこぼれる。
ハワード達みたいな派手派手しさや、カオル達みたいな壮美さは、俺たちにはないけど。
共にいるだけで、こんなにも心が落ち着く。
ありふれてはいても、それだって十分素敵な関係だと思う。
「ねぇ、今日は遊園地に行きましょう。とても素敵なアトラクションが出来たらしいの」
「うん。いいね」
だから、今日を共に過ごそう。
君と一緒なら、大丈夫。
どこでだって、楽しい一日になるよ。