ごめんなさい、好きです | ナノ







きっとそうやって -5-




多分、そうなのだ。
自覚したら、つきものが落ちるみたいに気分が軽くなった。


名前の付けられなかった感情の、収まりどころ。
それは、多分――









ごめんなさい、好きです









例えば、チャコ。
彼女に、さっきのカオルと同じようなことを言われたら――

きっと、そんなことはないって思う。
いやそれ以前に、あんな弱音なんて吐かないか。

その差は、一体何だろう。


どっちも、大切な存在であることには変わりはない。
護りたくて、失いたくない、心からの仲間だ。
けれど、やっぱりそこにあるものの根本は違う気がした。


チャコだけじゃない。
シャアラやメノリ、ハワード、ベル、シンゴ――

ただカオルだけが、違う。


うん、悪いものを食べたわけでも、何でもないのだ。
ただ、“そう”なだけ。


「カオル……」


前をゆく彼に、呼びかける。

すっかり広くなった背中が、立ち止まった。
振り返ったその端整な顔立ちに、またトクンと心臓が跳ねる。


――あなたが、好きです。


でもそれを告げるには、あまりにルナは弱すぎた。


「ご、めんなさい。何でもないわ」


夢を追いかける彼を、まっすぐ前を見つめ歩く彼を、呼び止めてなんになる。
例え振り向いてくれたって、今の彼にルナは重荷でしかない。


そんな言い訳を、繰り返す。
不器用で、臆病。


それがルナの、初めての恋だった。






あとがき
変なところで終わってすみません。
この二人は洞察力は鋭い癖に自分の感情には疎いように思います。
ていうか、疎くなることで自分を護ってる、みたいな?
そこが自分的萌えポイントの一つなのですよ。



お題提供堕天使

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