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シャララララーン
球技大会
カキーン、と快音が響く。
白いボールが、ぐんっと弧を描いた。
「また打たれたな」
「ほんとばかすか打たれるわねぇ……」
「まあ、向こうのチームは野球部が多いし」
ハワードは、ぐっと唇をかんだ。
プルプルと身体を震わし、わき上がる怒りをなんとか逃がそうとする。
「でも、確かピッチャーなら僕に任せろ、とかなんとか言ってなかったかしら」
「そう言えばそうだったわね……。野球なら得意だ、って」
「なんだ。結局いつものパターンじゃないか」
しかし、今度ばかりはそれも成功しなかった。
マウンドからグラブをつきだし、フェンスの外をにらみ付ける。
「うるさいぞ外野! どっちの味方だよ!?」
「そりゃ、もちろん自分のクラスだけど……」
「だからこそ、どこかの誰かさんへの文句が出てくる訳だ」
「フォアボール八回、デッドボール五回、三振一つじゃ、ねー」
ちなみにまだ三回の裏である。
「しかもその三振も自分の取り巻きの一人だし」
「カオルやベルが味方で良かったな。あの二人がいなかったら間違いなくこの回でコールド負けだ」
ハワードは、う、と言葉を詰まらせた。
確かに、ショートを守るカオルの守備範囲の広さには目を見張るものがあるし、さっき見せたセンター、ベルのバックホームだって見事なものだった。
「あの二人がピッチャーの方が良かったんじゃないのか?」
それには、自分でも少しだけ、――本当に少しだけ――そう思った瞬間が確かにあったから……。
ハワードはチッと舌打ちして、小さく目を伏せた。
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