レモンサイダー


君が黒板に書いた名前
どうせ忘れるのに読み方訊ねるの

それを今思い出したんだ
泣きたくなって それなのになぜか
涙は零れないんだ

気の抜けたレモンサイダー
随分古くなった自転車
黙っていたって 時間は過ぎてゆくから

廃墟はコンビニになった
コンクリートで固められた
伝えたいのはそんなことじゃなくて

わかっているんだろう きいているんだろう
あの日みたいに しかめっ面して
信じているんだよ 待っているんだよ
聞き返す優しい声

ハンドルにぎる大きな手
小さく笑う声
何もかもが昔のままのようで

喉の奥が苦しくなる
君の名前 声に出して呼んでみるよ
意味はないよ

わかっているんだろう きいているんだろう
あの日みたいに ごまかさないで
信じているんだよ 待っているんだよ
早く馬鹿だと言って笑って、

それだけで世界は平和なんだ
おそろしいほど幸せなんだ
冗談交じりに笑う君が 世界で一番美しい
何を失ったって 綺麗すぎた名前
忘れないよ

真っ赤になって生きてる途中なんだ
呼吸がしたいよ







(2008)







  


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