心臓にキスをした


赤い風船 きみの夕暮れ
穴があいた 永遠に
淡い血に染まったシャツを たくしあげて
心臓にキスをした

小刻みに震える彼女の手
煙草の火を思い出した
あなたが死んだらいいのにね。
神様、わたし 守れなかった

真っ白に泳いだきみが吐いた息は
ゆっくりと霞む いつかの空へ
かわいい朝に憧れていたんだ
カーテンあけて 眠ろうよ

「忘れないでいいよ 変われないでいいよ
そのままの君でいてほしい」
さよならを言えないままのきれいで赦されない朝に

血が出てもいいよ 痛いくらいがいいよ
確かなものであってほしい

「 世界中にふたりだけみたい 」

血と汗と精液のにおい、


戻れない。





(2016)









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