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14START TO…


加速する速度。真昼のハイウェイを異常な速さで飛ばす三台は、ゲームのように一般車両を追い抜いていった。


『…ナンデ俺達はヒスイと一緒に乗れねーんだヨ』


コルベットのシートでラジコンカーのホイーリーが退屈そうに一度跳ねる。頭では分かっている。が、愚痴を零さずにはいられないのは彼の性格。ブレインズはそれを横目に、パソコン型でダッチの情報操作に手を貸していた。


『今、あいつの邪魔をしてみろ。例えオマエがオートボットになったと言っても消されちまうぜ。』


サイドスワイプの放つ言葉に、ホイーリーはまた深い溜め息をついた。
月面調査の関係者が次々と消されているのを調べる中、たどり着いた生き残りのロシア人宇宙飛行士によって彼らの行動の思惑が次第に解かれつつあった。
ディセプティコンは月の裏側にある"柱"を探していたのではない。柱を操る事の出来るセンチネル・プライムをオートボットに起動させる事が目的であったのだと。
何としてもセンチネル・プライムを守りきらねばならない。近辺のNEST部隊、オートボットに召集をかけて、ヒスイ達もすぐさま基地へと戻る事になった。
フェラーリのシートで慌ただしく基地への通信回路を開いている彼女をホイーリーはじっと見つめる。車内には彼女ただ一人。人間は嫌いだという癖にヒスイの事は我が物顔で独占する赤いオートボット。ただ悔しい事にディーノはそれに伴う力も兼ね備えていた。


『……俺もオマエらみたいにもっとボディがデカかったら』


いつも膝の上じゃなく、たまにはヒスイを乗せて走りたい。彼女が危険なら、後ろに隠して戦ってやりたいとも思うのに。
しょぼん、と小さくなったホイーリーにサイドスワイプは小さく苦笑を漏らした。


『オマエはそのサイズで出来る事をやればいい。俺達は外でヒスイを守ってやる事しか出来ないが、オマエは基地の中でも自由に動き回れるだろ。』
『…、』


――その時、背後から猛追してくる黒のサバーバンがバックミラーに映った。ぞくり、吐き気のようなおぞましい気分の悪さが襲う。ホイーリーが振り返った視線の先でトランスフォームが始まる。
ほの暗い赤い眼。鋭い爪が一番、後方を走っていたシモンズの乗るマイバッハに食らいついた。


「、ディセプティコン…!!」


笑う牙を見て、凍る。肌を刺す殺気にヒスイが叫んだのとほぼ同時。シモンズの体がはるか後方へ吹っ飛んだ。
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2012 04 13

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