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どうぞ私にお構い無く(青の祓魔師*アーサー)


※主は中級祓魔師。
アーサーと同期で日本支部所属。


祓魔師としての実力は、平均的なものでヒカルはヴァチカンでの訓練を終えた後、故郷の日本支部で勤務についた。
同時期、首席で卒業したアーサー・オーギュスト・エンジェルはその名前に負けぬ天使のような金髪碧眼で眉目秀麗な男だったが、彼女は彼が苦手だった。
悪魔に情け容赦ない性格と戦い方は見ていて少し怖かったからだ。対してヴァチカンにいる間、アーサーは何かと絡んで来たが、彼女はなるべく穏便に交わしつつ帰国した。


「ヒカル、おっさんがあんたの事また探り入れてたぜェ〜?」
「シュラ、エンジェルは一応貴方の上司でしょ?おっさんなんて…」
「にゃはは!一応って……地味に本音が出たな!」


そう言って馬鹿笑いするシュラは彼女の後輩にあたる優秀な祓魔師だ。同じ国の出身であり、歳も近い事から二人は会えばよく話をしたが性格は正反対だった。
控えめな性格のヒカルは服装も型崩れすることなく全身黒ずくめで肌が出ているのは首から上だけだった。黒い目。黒い髪。鏡に映る自らの容姿はエンジェルと正反対で、彼女は自分が悪魔の遣いのようだとふと思った。

正十字学園で教壇に立ちながらヒカルは奥村燐を具に観察する。サタンの落胤とされながらもごく普通に生きている青年に彼女は内心どうしたものか戸惑っていた。


「先生!ここ、分かんねーんだけど。」


放課後、屈託のない真っ直ぐな燐にヒカルは淡々とばかり接する事が出来ず時折本音で微笑んでしまう。そして彼が嬉しそうに隣に座る瞬間、罪悪感に苛まれるのだ。

私は君を信用出来ないのに、信用…しないで。
藤本神父は彼をどうするつもりだったのか。彼女は推し量りかねる意図をシュラにも相談する事が出来ず一人、悩んでいた。
だって、話したところでシュラのように彼には接する事は出来ないから。


「――全く。五年働いて昇格無しか。ヴァチカンに来い。私の下につけて、その優柔不断な性格を叩き直して鍛えてやる。」
「……有り難い申し出ですがお言葉だけ頂戴します。久しぶりに電話してきたと思えば早速お小言ですか、聖騎士。」
「ハハハ!生意気なのは相変わらずだな!近い内、一度日本へ赴く。メフィストにはしっかり目を光らせておけよ。シュラには言わなくていい。」
「!ちょ、」
「逃げるなよ、ヒカル。」


一方的に電話を切られ、ヒカルは相変わらずの身勝手さにため息をついた。顔を合わせると考えるだけで今から憂鬱な気分になる。いっそ、この悪魔のような容姿の自分を嫌ってくれた方がいくらか楽だろうに。


「よくあの人の下でやってけるわ……流石はシュラね。」


(さて、この機にメフィストからどうにかヒカルを引っ張り剥がさんとな。)
(強引に連れてきても靡きませんよ。)
(…全く。私の何が気に入らんのだ、あの弱輩者が!)


どうぞ私にお構い無く。

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2014 04 28

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