擬似呼吸
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昼時ラプソディ

「今日はいつものじゃないのね」「売り切れてた」「毎日飲んでるから余程好きなんだと思ってたけど、あっさり趣旨替えするのね。軽い男」「……なんで僕若干責められてるの? 珈琲に怨みでもあるの?」「苦いものは嫌いよ」……隣でカフェオレを啜る彼女は、不問なのだろうか。


今日は何の日

「今日はキスの日なんだって」「初耳ね」「しようか、トウコ」「主語はなに?」「キス」「魚の?」「この流れで魚はないと思うけど」「そうね。でも駄目よ、あなたと接吻なんかしたら、変な呪いに罹りそうだもの」「君は魔法使いで僕は呪術師かー」それはそれで似合いだと、思うけど。


それでも彼女は嘘を吐く

彼女が歌を唄っていた。流行り物かと訊くと、彼女は違う、と頭を振る。これは鎮魂歌だと。彼女が案外信心深いというのは新しい発見だ。どうやら自分の魔法で傷付けたひとたちへ送るものらしい。ただ一心にそれを唄い続ける彼女はかなしくて、どこかとても滑稽だった。


嘘と魔法少女

そう言えば彼女は魔法がつかえるらしい。昼食のサンドイッチの切れ端を傍らの黒猫に与えながら、当人が言ったことだ。僕はそれをいちごオレ片手に聞いていたのだけれどーーその横顔が少しだけ愉しそうだったから、大嘘なのかもしれない。

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