榊原女史の傍観【い】












 室町からこんにちは!

 戦で生まれ育った村のみならず両親共々殺されて異世界の現代に迷い込んでちゃっかり超A級ハイスペック霊能力者な女の人と接触してうっかり自分の居た世界まで連れ帰っちゃった榊原倫太郎10歳(幽霊)です!


 あ、この( )の部分重要ね! 僕ほんとに死んじゃってるから!


 雑鬼や妖怪たち、他の幽霊仲間から《幽霊らしくない明るさと能天気さを持った奴だ》って言われまくっているけど、僕死んでるから!

 ただ僕はさ、他と違って悲嘆や憎悪や後悔に支配されていないだけなんだよ。

 もちろん、死んじゃったことは悲しかったよ? 一時期心が虚ろになっちゃったくらいだし。

 でも第二の幽霊人生を全力で謳歌してるせいかそういった感情が遠く離れちゃったんだよね。

 しかも異世界に迷い込んだり、生きた人間を連れ帰ったり、悪霊化せずに浮遊霊のまま気ままに生活していたりとかトカ・・・なかなか普通の幽霊とかけ離れたことをしちゃっているせいか、とある神様には幽霊から守護霊→神霊に進化するんじゃないかって言われちゃって!(えへへ)



 とまあ、僕の話は長いからこの辺にして、




―――紹介します、僕の唯一無二の親友にしてこの物語の主人公、榊原色葉です!




「・・・・・・・す・・・ぅ・・・・・」








 超熟睡中☆








《相変わらず忍者の卵とは思えないほど無防備な熟睡っぷりだねー》



 いや、色葉は忍者になるつもりが無いから良いのかな? と思いつつ、色葉の机の上をふわふわ漂いながらその穏やかな寝顔を覗き込む。


 普通に笑いもするし怒りもする色葉は普通に表情豊かで(ちゃんと女の子らしい表情もあるのに何故か格好良くて)、

 でも同年齢の中では特に大人びた方だから(そりゃそうだ中身は21歳過ぎてるし)、

 寝顔に浮かぶ幼さを見るのは結構面白い(だって彼女が唯一無防備になる時だから)。


 見飽きるどころか、釣られて居眠りしそうになるくらい癒し空間を作ってくれるから、うっかり眠らないようにするのが大変(僕は幽霊のはずなのにね)。




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