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2010/04/10に【金烏玉兎の戯れ】で記載していました。
【それは一体幸か不幸か? 01 】
教壇の上に積まれたノートを一冊一冊裏返して名前を確かめながら数えていく。
面倒な作業だが、提出率が悪いと係りが責められるのだから仕方が無い。
「林、栗岡、数学のノート!」
「あー、悪い。今出す」
「げぇ・・・・今日提出かよ」
うちのクラスは基本提出率が悪くなることはない。
だからこうして促せば慌ててノートを出す奴や、渋い顔をしながらも今から宿題を仕上げようとする奴ばかり。
女子に至っては未提出者ゼロが常で、男子でも一人か二人。
そこのところ、中学生にしては意外と真面目な連中が揃っていると思う。
・・・ただし、一人を除いて。
「笹川、お前今日こそは宿題やってきただろうな・・・・?」
「極限やってなぁいッ!!」
宿題未提出常習犯 笹川了平。
こいつだけは毎回毎回提出しても清々しいほど真っ白なノートで、問えば出来ていないことを宣言するような馬鹿。
あまりに堂々とした宣言っぷりにイラついたおれは、手に持っていた林のノートでぱこんとその頭を叩いておいた。
「やってない、じゃない。今すぐやれ。交渉して昼まで提出期限延ばしてもらうから」
「それは無理な話だな」
「どうして無理なんだ?」
「極限わからんからだッッ!!!」
ばしんッ。
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