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【それは一体幸か不幸か? 10 】






 結果的にいうと、おれの周りは物騒な知人ばかりだったらしい。


 確かに在学中からダイナマイトや殺し屋といった物騒ワードが飛び出すわ、しょっちゅう緊急入院確定な重症を負うわ、見るからにヤバイ系の強面の黒服が増えてくわ、町内で明らかイカレてる連中をちらほら見るわと

 どれだけおれの心拍数をダダ上げする気だ!と問い詰めたいやつらだったけど、まさか全員イタリアのマのつく自由業関係者とは思うまい・・・。

 城島たちが離れていったのも、山本たちの高校卒業と同時に連絡がつかなくなったのも、音沙汰なしで並盛に帰省すらしなかったのも、一般人なおれを巻き込まないための対策だったとか。


(・・・・気をつかってくれたのは評価するがな。親や妹、妹友人には暴露&事情説明しておいておれにはなーんもなしというのは、かなり納得がいかないんだが・・・)


 ここまで吐かせるのにも、時間がかかった。

 ここはどこだと問い詰めて、おれが襲われた原因はなんだと問い詰めて、保護される理由はなんだと問い詰めた。

 その時点でヤバいことしているのも、おれに気をつかってのことなのもピンときていた。


 でも今更だ。


 学生時代散々振り回されて怪しい点はたくさんあったんだ。

 今更笹川たちが何に関わって何をしているかを知ってどうこう言おうとは思わないし、どんな真実であっても気にしないのに。

 それなのに巻き込んでも尚隠そうとするやつらにキレてしつこく食い下がった。

 そして目を泳がせる笹川たちをじぃーっと見つめて、ようやく全て吐いた。

 曰く『どこからかボンゴレの関係者だと情報が漏れたから、先輩は敵対マフィアに襲われたんです・・・』らしい。





――迷わず満幸召喚。





 襲撃受けて携帯壊れてたしそもそも国際通話設定にしてなかったし・・・ということでイタリア在住日本人から携帯を奪って連絡をとった。

 というか勝手にかかってきた。

・・・おかしいな、満幸と沢田は知り合いでもなんでもなかったはずなんだが・・・・そしてヘタレでもイタリア最大マフィアのドンだから携帯の番号が漏えいするはずなんだがな・・・・しかも厳重な警備の敷かれた室内で頭上からの登場っておかしいだろ・・・。

 とまあ突っ込みたい点はたくさんあったんだが、


『なかなか目を覚まさないんだも〜ん。ぼく、待ちくたびれて来ちゃった♪』


『・・・・・・・・・・・・』


『ぶッ』



 無言で頭突きかましてやった。



 事情を聞いて真っ先に行き着いたのは“満幸が情報を漏らした”ということ。

 正しくは“襲うようにそそのかした”だろうけど、どっちにしろマフィアにおれを襲わせたのは変わらない。

 自惚れでも身内びいきでもなく、おれが襲われる瞬間に満幸が間に合わないはずがないから。

 今までの経験からいっても、おれが気を失うほどボコ殴りになる前に『有責獲ったー!』と加害者を半殺しにしてるはずで、そうなっていない方が不自然だった。


『いたぁい!ひどいよー春幸兄ちゃんッ!!!』


『・・・・・・・・・・・』


『・・・えっと、弟、さん?』


『おいツナ、不用意に近寄んじゃねー。こいつ“破滅屋”だぞ』


『なッ!!? つい昨日ゴルゴンファミリーを壊滅させた“破滅屋”ですか・・・ッ!!?』


『・・・・・・満幸、お前そんなことしてたのか』


『え、えへ?』


 マフィアを壊滅。

 新たな情報にリアルでorzしたくなった・・・・・いや、なんとなく予想はついてたけどさー・・・。

 自由気ままで好き勝手に騒動を巻き起こす満幸と、その満幸に付き従って騒動を助長させる冬幸。

 そんなやつらを叱るのは昔からおれの役目で、おれというストッパーの目がなかったらどんな破壊活動を行っていることか。





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