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【それは一体幸か不幸か? 04 】
表情豊かとはお世辞にも言われたことはないけれど、それなりに笑ったり怒ったり困ったりしているはずのおれ。
なのにちょっと笑っただけで・・・・・部では一番仲の良い後輩とその友人たちに盛大に驚かれて、かなり凹んだおれ。
傷心ついでに昼食は中庭で摂ることにした。
一人でご飯と聞くとちょっと寂しい奴のようだが、おれは別に寂しいと思っちゃいないから問題ない。
教室で食べる方が弁当のおかずを狙われて危険だし。
(・・・・・・・中庭も危険かもしれないなー・・・・)
突如立ち昇ったおびただしい煙に軽く咳き込みながら、おれはぼんやりと視界が晴れるのを待った。
普通なら火事だ!事件だ!と騒ぐところなんだろうけど、最近校内で爆音が響いたり校舎が揺れたり煙が上がったりオレンジ色の炎がちらちら見えたりと異常なことが立て続いているせいか、おれを含めたほとんどの生徒が「あぁまたか」という感じで慣れてしまっている。
何故だろうこの順応能力の高さ。
前の異世界に居た時では有り得ない危機感の無さ。
・・・・いや、戦国時代と比べちゃ駄目か。
こっちはこっちでトンファーを振り回す危険な風紀委員長がいるけど。
(煙が晴れるのを待つより、さっさと立ち去った方が良い気がするものの・・・・)
背後を振り返るものの、風向きの関係で煙がおれを取り囲んでいるものだから動けない。
やっぱり煙が消えないことには逃げることもままならない。
逃げたいけど・・・!
「ふぅ・・・また10年前に飛ばされたのか。一時間並んでようやく食べられると思ったのに・・・」
「何を?」
「何って安くて美味いと人気のカレーライス・・・・・・・って、あれ?」
なんというかこれまた派手な男に会ってしまった。
牛柄シャツを着てる人なんて初めて見た。
そして結構な美形なのに、おれ見てぱちくりしてるとどこか間抜けな感じがする・・・・・訊けば律儀に答え返してくれたし、いや訊くおれもおれだけどさ・・・・・・外見に対してヘタレというか・・・・・なんというか・・・・・・・うん、害はないな。
「えっ、ちょっと! どうして弁当広げてるんですかっ!!?」
「どうしてって、腹が減ってるから?」
「俺が現れたことはまるっとスルーですか・・・・っ!!?」
いやまぁ確かに突然現れたことには驚いた。
予告も影も無く、それに明らかな部外者が校内にいることに驚いた。
よく風紀委員の目を掻い潜って侵入したもんだ、すごいすごい。
でもおれにしてみれば、驚いた、それだけだ。
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