02
「なんだてめぇ、10代目に喧嘩売ろうってんのか? あ゛あ゛ッ?」
「ちょっ、獄寺くん!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
えー、なんでおれ絡まれてんのー・・・?
絵に描いたような不良少年に絡まれるような理由がさっぱりわからず、沈黙で返すしか出来なかった。
けれどそれでも何か気に食わないらしい。
銀髪の不良は強烈に睨みつけて、懐に手を伸ばす。
それを慌てて止めるのが琥珀色の目に茶髪という、性格に反してなかなか派手な色彩の小柄な男・・・・ってか。
「・・・・・・・・もしかして“沢田綱吉”か?」
「え?」
「てめぇ、どこのファミリーだーーッッ!!!」
「わぁっ!! やめてよ獄寺くんっ!!!」
ああそうだ、そういえば日常的には笹川に、部活動では山本から聞かされてた“沢田綱吉”だ。
一度見たことはあっても遠目だったし、熱で意識朦朧としてたからはっきりと覚えてなかったんだよな。
なるほど、こいつが最近校内を賑わせているパンツ一丁で走り回る男か。
・・・・・・・・・・なんで?
「・・・・山本、楽しそうだな」
「楽しいッスよー!」
せっかくだから、そのパンツ一丁の謎を訊いてみようかと思ったところで、隣に立つ後輩がすごくイイ笑顔なのに気づいた。
普段からにこにこにこにこ楽しそうに笑ってる男だけど、沢田と不良を見つめる目は普段以上だ。
「コイツら見てて全然飽きないんスよ。ツナはああ見えてスゲェし、獄寺は花火持ち歩いてるような面白ぇーヤツだし!」
「花火じゃねぇって言ってんだろーがッ!! 果たすぞッッ!!」
「教室でダイナマイト出さないでよーっっ!!!」
「ハハハハハ!」
物騒な単語が聞こえたんだけど・・・・・・ああうん、ほんっと楽しそうに笑ってんな、山本。
一時期は本当に苦しそうな顔してたのに。
天然のくせに余計な空気を読む奴だったから、周りに余計な気を使って隠してさ。
大切な右腕折って自殺にまで自分追い込んで、でもどうにか戻ってきて。
今度は心の底から楽しそうに笑う、何も気にせず笑っていられる。
そんな場所を作ることが出来たんだな。
「――そうか、良かったな。お前、今が一番良い顔してるよ」
おれより高い位置にあるその頭をぐしゃっとひと撫でして、おれも笑った。
・・・・なぁ、そんなに驚かなくてもいいんじゃねぇの?
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