幸せの定義









無限に続く輪廻の
そのたった一度。

ある世界の、
戦士と言うにはあまりにも非力すぎる、
一人の女性が、コスモスの駒として召喚された。


「シア」


彼女の名前。
コスモスが優しくその名を呼んだ。


「あなたは、カオスの軍勢と戦うための力など、持っていないに等しい。けれど、あなたはこの世界を変えてくれると、私は思います」


どうかこの世界に調和を。


「コス…モス…」

「行って。戦士たちが、あなたを待っているわ」


待って、コスモス、私は――…。

その言葉は白い閃光に飲まれ、純白の爆発が瞼の裏を焼く。



********



シアは、武器も持たずに立っていた。

整いすぎた、白の世界。
光の橋が、弧を描いて地面を貫いている。


「…シア?」


いぶかしげな、凜とした声が後ろから飛んだ。
振り向くと、そこには秩序の筆頭たる戦士が立っていた。


「会えて良かった。君一人ではどうなっていたことか」

「心配性だなぁウォーリアは…」


コスモスの駒として選ばれてどれだけ経っただろう。
数日、数週間、もしくは数ヶ月。シアは記憶を失っていた。


「武器も持たずに、危ないだろう」

「持ってたって逃げる邪魔になるだけじゃない」

「逃げるつもりなら一人で来るな」

「はいはい。帰りますよ」


シアはウォーリアの腕を取り、寄り添った。


「お、シアいたッス!」

「なんだ、彼が一緒なら問題ないな」

「そっとしときましょう」

「帰るか」

「早めに帰るんだよ」


ティーダとフリオニールとティナとバッツとセシルは、
どこからともなく集まってきたかと思うと、またそれぞれに散ってしまった。


「ちょちょ、みんな!」


誤解だって!
とは言えず、あながち誤解でもないような気もして、結局手を伸ばすだけで終わってしまった。


「引き留めないのか?」

「…引き留めたら、二人だけで帰れないから」

「……」


ウォーリアはあらぬほうを見やった。


「…照れてるの?」

「違う」

(わかりやすいな…)


シアはクスッと笑った。


「何が可笑しい」

「幸せすぎて、さ」

「…君が幸せなのが、一番嬉しい」

「そ?」



結局もしかして
バカかも私たち。






to be continue?





ごめんなさいいいいいい(全力疾走



2011.6.12




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