月夜に堕つる









時守は月影の肩をつかみ、畳の上へ押し倒した。


「その…目で」


彼の声には、安堵と緊張と、安らぎと苦しみがない交ぜになっていた。


「その目で俺を見るな――…っ」


外からは静かに月明かりが二人を照らしていた。
静寂が夜を包む。


「お前が…お前がそんな、悲しそうな顔をするから…っ」

「時守様…」


月影は、自分の肩をつかむ時守の右手に、自分の左手を重ねた。
まるで、力を分け与えるかのように。


「…あなたには、あなたにしか出来ないことがございます」

「…」

「見失わないでください、ご自分を…」


月影はそう言って、もう一度微笑んだ。
それはそれは悲しそうに。

時守は、優しく添えられた手を見つめ、切なく眉を寄せる。


「俺にしか出来ぬことがあるなら、お前にしか出来ぬこともある」

「…時守様…」

「俺を、愛するということだ」


時守は、左手で月影の後頭部を支え、距離を詰めた。
そっと、一瞬だけ唇が触れ合い、またほんの少し距離を開ける。

彼が、閉じていた瞼を開くと、
月影の瞳は潤み、頬は桜色に染まっていた。

押さえきれない理性。
時守はその頬へ舌を這わせた。そして首筋へ。そして…――。


「はっ…ぁ」

「月影…」

「時守、さま…」


月影は、彼の手に添えた左手に、ほんの少し力を入れた。
声は微かに震えていた。


「時守…さ、ま…」

「…月影…止めるな」


時守の手が、月影の着物の襟元にかかる。
月影は止めなかった。

その代わり、悲しげな微笑と共に一粒だけ、涙を目尻に伝わせた。



「お気の召すままに…――」



二人は夜の月に魅入られ、堕ちた。


まだ

不眠の宴は始まったばかり――。







fin.








初の微裏モノです(笑
今このCPにハマり中なんですw

ぜひこの二人を書いてみたいと思いまして(おm
根性と耐性が無いので微裏止まりですg(ry

お目汚し失礼いたしましたoyz






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