夢短編 | ナノ
一応、家庭教師達から日本でいうと高校レベルまで習っていたから授業は簡単だった。
休み時間にはいろんな人から質問受けて、適当に応答して、疲れた。
鳳君は転校生だから仕方ないって笑ってた。
昼になって、鳳君に誘われるままに着いていく。
「どこ行くの?」
「屋上だよ。先輩たちと食べてるんだ」
「部活の?」
「そうなんだ。いい人たちだよ」
「ふーん」
鳳君はテニス部だって言ってた。
なら、ワカいるかなって期待してみる。
あ、でも、200人以上もメンバーいるって、下克上にちょうどいいって言ってたっけと思い出す。
それともレギュラー同士ってことで仲良いなんてことないかな?
「じゃあ、その宍戸さんって人は努力家なんだね」
屋上に着く前にと、どんな人たち?と聞いたら宍戸さんって人の自慢話が始まった。
鳳君のダブルスのパートナーらしい。
一度レギュラーから落とされたけれど、必死に練習したとか。
この前鳳君の弱点克服の為の特訓に付き合ってくれたとか。
「尊敬出来る人なんだ」
「そっか。あ、ここ?」
階段を登ったところに扉があったから、聞いておきながらも確信する。
「開けるよ」
少しだけ緊張しているのが伝わったのか伝わってないのか、鳳君はクスリと笑って、ボクが頷くのを待ってから扉を開けた。
緊張した理由は鳳君が考えたようなこととまりきり違うだろうけど。
「よぉ長太郎」
鳳君に声をかけたのは帽子をかぶった人だった。
「宍戸さん、こんにちは」
その人が宍戸さんらしい。
そっと鳳君の後ろから屋上を覗いて見ると、男の子が6人に女の子が1人、いやもう1人離れたところにいた。
その中に観察対象の写真と同じ顔の女の子がいて、幸先がいいと思った。
「あーん、鳳誰だそいつは?」
何だか偉そうにものを言う人が不機嫌そうにボクを見た。
「転校生の月島さんやで、景ちゃん」
「クソクソ侑士。知り合いかよ。」
道案内の人が偉そうな人と赤髪おかっぱに答えてくれた。
「職員室まで案内したんよ」
「えっと、おしどりさんだっけ?」
そう聞いた途端に空気が変わった。
鳳君を見ても驚いた顔をしていて、次の瞬間には大爆笑が起こった。
道案内の人以外は。
「違ったかな…」
いや、わざとだけどさ。
ボクという存在を印象づけるための、さ。