夢短編 | ナノ





「月島美優。よろしく」

言って、小さく礼をした。

教室内を見渡してみたけれど、ワカはいなかった。

同じクラスじゃなかったみたいで、残念だなって思った。

「自己紹介はそれだけか?」

担任だっていう人に言われて、駄目だったかと判断する。

「一応、アメリカから来た。あとは、…あっテニス好きかも」

これでいいかって担任を見る。

「よし。お前は鳳の隣だ。手を挙げろ」

手を挙げたのは何か背の高そうな男の子だった。

そこまで歩いて座る。

何だか、視線が集まってる気がして、どうしようかと悩む。

好意と悪意、比べると好意のが圧倒的に多い。

ざわめきでだいたい理由も分かる。

可愛いとか綺麗とか仲良くなりたいだとか。

鳳君の隣で羨ましいとかズルいとか。

鳳って人、けっこう人気者らしい。

「よろしくね。月島さん」

「あ、うん」

この学校について聞き出せるかな?



「月島さんってさ、テニス好きって言ってたよね」

授業始まって少ししてから鳳君に話しかけられた。

私語していいのかなと思ったけれど周りにも話してる人がいるから大丈夫なんだろうね。

「うん。友達がやっててね。凄く楽しそうなんだ。時々まぜてもらってるし」

「僕もテニスやってるんだ」

「強いの?」

「レギュラーになれるくらいには」

教科書を見してもらってて席が近い。

へぇ、と小さく笑うと彼の顔が少し赤くなったのが分かった。

「相手を出し抜いてボールが決まった時の爽快感!」

「ええ。サーブが決まると嬉しいです」

その鳳君とは結局少しだけ仲良くなったかもしれない。






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