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《side Mafia》
ふかふかな絨毯に皮張りのソファ、それに存在感たっぷりの執務机。
どれもどもれが一目で高価と分かるけれど決して豪華過ぎないセンスの良さが漂うその部屋に二人の青年がいた。
「ここ最近の大きな事件で言えばツインタワービルの崩壊や東都タワーへの襲撃。その他にも都合の悪い要人の暗殺や麻薬の売買、それから人体実験も」
沢田綱吉はその手に持つ書類から重要な箇所を読み上げていく。
「相手はマフィアじゃないみたいだから俺たちの掟にそのまま当てはめることは出来ないんだけど、だからといって放っておく気はないんだ。そしたら被害が広がる。ただ、けっこう厄介な組織でねその全貌が知れない」
引き出しから錠剤の入った小瓶を取り出し雲雀に見せる。
「アポトキシン4869って知ってます?」
「何それ?」
「黒の組織が開発した毒薬何ですけど、えーっと、あったあった」
綱吉は手元の書類から一枚を手渡した。
「死因不明の死体?…これ並盛の人だね」
雲雀はムッとした表情を作った。
「ここ一年で亡くなった中で該当する人たちなんだ。見つかったサンプルを調べてもらって分かったことだけど、アポトキシン4869には細胞を自滅させる効果があるとか。しかも毒薬だという証拠が残らない」
なんていうかそう暗殺にもってこいだよなと綱吉は皮肉げに嗤った。
「で、協力して欲しいことがあるんですが」
「いいよ。もちろん」
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