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「まったく、人の朝飯食うとは酷くないか?」
ツナは歩き、ボクはローラーシューズで滑りながら学校へと向かう。
「それがマフィアというものだよ」
声高々に宣言しながらマフィアを強調する。
するとはっきり分かるほど機嫌を更に下げたツナがわざとらしくため息をついた。
「オレはマフィアじゃねーつーの。それからお前もな」
「さあてね〜」
ボクはあははと笑って微笑って嗤った。
ツナはボンゴレ十代目候補だということは本人もボクが伝えたために知っている。
それは六歳の時の春、ボクがイタリアから帰国したあとのことだ。
『能ある鷹は爪を隠す』ということわざをツナにぃを思い出しながらツナに伝えたからか神童って呼ばれてもいいくらい頭の良くなったツナは普通レベルに装って暮らしていた。
ツナにぃの場合は『成長の早すぎる子供は気持ち悪いって虐められてさあ』とダメツナを被り出した経路を語っていたから、もしかしたらそれもあるのかもしれない。
とにかくやっぱり沢田綱吉は沢田綱吉だと認識したボクは話せることを話せるだけ話した。
ツナはそれを理解し、マフィアになりたくないと言った。
そうしてボクとツナは一つ賭けをして、それ以来ツナは人前ではダメツナを被っている。
「で、まだだよな?」
「うん。まだだよ。遂にフェデリコ・フェリーノが骨で見つかってツナに白羽の矢が立っちゃったかなーってだけ」
「おい待て、それ初めて聞いたぞ」
「だって初めて話したもん」
ボクの肩を両手で掴んだツナに向かってにっこり笑う。
「残念だったね。天はツナを望んでるみたいだよデーチモ?」
厭味たっぷりに耳に口を近付け囁けばツナはプルプルと体を震えさせてボクの肩から手を離し頭を抱えた。
「うう、やだなあ」
そろそろ通学者が増えてきたからダメツナモードらしい。
「まあまだ時間はあるみたいだし、気長に待てば?」
「待ちたくない!」
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