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「よっす!貴方が田中太郎君だよね?はじめまして、お疲れさま」
どこか気弱そうに見えるどこにでもいそうな高校生にボクは声をかけた。
その少年は来良学園のブレザーを纏っていて、いい加減この時間に外に出ていると警察に補導されそうだ。
因みにボクは中学一年生。
当然今は並森の制服なんて着ているはずがない。
「ええと、君は…?って、田中たろってな何で?」
「あっ、ボク?ボクは桜華って言うんだ。よろしくね。ちなみに何で君が分かったかっていうのは秘密だよー」
「えっ?桜華さんって……」
「あははそうだよ。貴方がダラーズの創始者なら、ボクは副創始者?って感じの。ついでに言えばボク中学生ね」
「とりあえず、会うのははじめまして。僕は竜ヶ峰帝人」
「もー言ったけどボクは『桜華』。よろしくね?」
にっこり笑って手を差し出す。
一言簡単に説明するならば、ダラーズの創立にボクも携わったってことだ。
竜ヶ峰帝人が田中太郎というネームでダラーズのネタを出した時に、そのネタを広めるのを手伝った。
サイバーテロにも関わったことのあるボクからしてみたら簡単なことだった。
その後、他のチャットメンバーはダラーズが怖くなって逃げたけど、創立者たる帝人とボクは続けた。
だから、ダラーズのオフ会と称されたこの集まりにも誘われたってわけだ。
帝人とは少し喋ってから別れた。
首なしライダーの戦いも見れたし、わざわざ渋谷まで来たかいはあったと思う。
渋谷で面白いことが起きそうなのは一つのイベントが終わってしまった今、しばらくない。
ボクは家に帰った。
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