ボクの二度目の人生は | ナノ




11

「結論が出ているのだから代わりに、そういったことは可能なのかについて問うつもりだけれど、まぁ、まず難しいと思う」

「ボクは前世で人の体を乗っ取り、姿まで変えられるような術士を一人知っていたのだけれど、それほどの技術を持つ人がそうそういるとは思えない。ボクですらやったことないし、第一にその人の場合は身動きのとれる状態じゃなかったから身代わりが必要で、また彼と魂の波動の合う協力的な人間がいたから、必要に迫られてだね」

「つまり、そんなことなんてそうそう出来ることじゃあない。ただね、ここはボクのいた『前世』とだいぶ似ていて違う。それこそ、『リボーン』の言っていた時宮という人達のことをボクはよく知らないしね。あの『戯言シリーズ』の本で読んだのや、調べた情報だけじゃあよく分からない。それに『殺し名』の第一位『殺し屋』匂宮の対極の対極の対極の『呪い名』、だっけ?これはボクの勝手なイメージになっちゃうけれど、わざわざそんなことをしないと思う。こんな時間のかかる面倒なことなんてやらないで。何年も何年も経つ前にさっさと殺していそう。ってことは、それほどの術士がいるかどうかを置いておいても、時宮はやらないはずだ。たぶん」

「ええと、議題を戻して、と。一応、人の姿まで変えてしまうような程に操ることは可能。けれど、わざわざ人の姿を変えるだなんて意味不明。というか、無意味。寧ろ逆効果。そして、それほどの術をかけ続けるなら、それに掛かりっきりになる。自分の体が疎かになる」

「つまり、よっぽどのよっぽどの何かがあり、それほどの技術のある人間にしか出来ない芸当。よって、『沢田美優の魂は実は誰かに操られているのではないか』という意見は、かなり可能性の低い、低すぎて考えても捨てられるようなことでしかない、よねぇ」

なんとなくボクは溜め息をついた。

「でも、その低い可能性も言い様によってはあり得るように感じる。そして、そう思ってしまったなら、捨てられない考えだ。だからきっと、これから『沢田家光』はその考えが決して頭から消えないだろーし、ボクが自分の娘かと疑問に思うだろーし。まぁ、最もその娘だって、父親を父親と思っていないんだ。お互い様。何とも歪な関係だよね」

「つまり、ただそれだけで、滑稽な物語。と。……よし、以上。考察終わりっ」

とりあえず、これ以上は考えない。

それこそボクがどう思っているかまで考えてしまってもどうしようもないことなんだ。

それこそ、滑稽で傑作な戯言なんだ。








[] []

back


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -