Panic Cat

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【2/22 日誌担当:幸村拓】


「見て見てマッキー、どうっ?」

 東京蹴球学園の朝は相変わらずカオスだった。

「おー舞衣おはよ、そのネコ耳可愛いじゃん!」
「今日はネコの日だからねー! ところで、可愛いのはネコ耳だけ?」
「おー、そっか。ははっまさか、舞衣が着けてるからとびっきり可愛いんだろー」
「やーん、ありがとっ! マッキーってば女心分かってる!」

 黙ろうかそこのバカップル。
 風巻と群咲にそうツッコむ者は居ない。この程度は日常茶飯事だからだ。
 但し、普段のバカップルカオスとは顔ぶれが違うが。

「あ、いいな〜マイ。僕もそれ欲しいヨ!」
「うんっ、そういうと思ってタエ姉からもう一個貰ってきた!」

 しゅぱっ、とミニショルダーからネコ耳カチューシャを取り出す群咲。
 いそいそと着けるシルバ。誰も止めない。俺も止めない。
 天才と奇人は紙一重と言うが、シルバの場合は奇行というより好奇心だからだ。
 シルバの好奇心に待ったをかけるのは、アイツのドリブルを止めるより難しい。

「どうかナ、似合う?」
「きゃー似合う似合うっ! レオもやっぱり可愛いねぇ」
「くっそ、可愛いな……普通の野郎が着けたらヒくけど、レオならアリか……」
「あれ、マッキー浮気? まさかあたしよりレオのが可愛い?」
「それはない! つーか冗談でもそんなコト言うな、奴が怖『俺の可愛いレオに手出すなよ、マッキー?』ぎゃー来たぁ!」

 スペイン語で登場した真打ち。普段のバカップルの片割れ。
 正直スペイン語だと何言ってるか分からないが、大体の想像で書いてる。『マッキー』の部分は聞き取れた。
 風巻も意味は分かってないだろうが、軽く脅されてるのは伝わるらしい。迫力って共通言語なんだな。
 ちなみにもう片方は現在、群咲から手鏡を借りて耳の角度を調整している。

「おはよう、レオ。今日はまた随分と可愛いカッコしてるな?」

 あ、日本語になった。別に理解しなくてもいいからそのままスペイン語でも良いんだが。
 ちなみに服装は練習用Tシャツだ。

「うん、あのネ、マイのなでしこの仲間がくれたんだって!」
「そうかー、じゃあ今日はそれ着けたまま……いや、やっぱり可愛いお前見られるの困るから、練習終わって部屋に戻るまで外そうな?」
「えー、結構気に入ったんだけどなぁ……ん、でもリッキーがそう言うなら」

 同じ空気吸ってるだけで血糖値上がりそうな会話が聞こえる。

「ハーイみんな、おしゃべりはそこまでダヨ!」

 着替えを済ませた監督が手を叩いてみんなを呼び集める。良いタイミングで来てくれましたおはようございます。
 群咲とシルバもしぶしぶネコ耳を外してベンチに置いた。やっと朝練が始まる。
 徹頭徹尾関わろうとしなかった大場が既に疲れた顔をしていた。



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にゃんにゃんにゃんの日に寄せて。
ななこさんからリクエスト頂きましたリキレオ。勢いで風舞衣も入ったw
蹴学では常識人は苦労しそうだ(・∀・)
タエさんは「今日はこれでカレシを悩殺しちゃえ☆」とか吹き込んだ気がする。

12.02.22 加築せらの 拝

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