あれ?

遠くからでもはっきり分かる、やや長身の姿。
背は高いけど細身の部類に入るから、それほど威圧感はない。
だけど、どうしてかあの人の前で話すと妙に身が竦む。

試合中でもないのに心臓が早鐘を打って、言葉は声に乗る前に消えてしまう。
だけど俺が何かを言おうとしてる事にあの人は気付いてくれて、「どーした?」って少し屈んで覗きこんで来る。
そうなると「何でもないです」なんてもう言えなくて、いつも通りの生意気な自分を表に出して、軽口叩いて。
「コノヤロ」って軽くシメられる、首をホールドするその腕に頭の中が漂白される。

「なんだよタク、元気ないなー?」
「真屋さん、こそっ」
「え、俺? 俺元気ないように見えるか?」
「だって今日はまだ鬼丸さんの首根っこ捕まえに行ってないじゃないですか」
「あー、そういやそうだな。ははっ、よく見てんなーお前」

そりゃ。貴方を見てますから。
貴方は目立つから。どこに居たって俺の視界に飛び込んでくるから。
白鳥さんより、鬼丸さんより、飛鳥さんよりも。
自分がそれほど目立つなんて知らないでしょうけど。
いつだって飛鳥さんの影で霞んでる扱いされてた、なんて笑って言うくらいだし。

でもそんなはずない。
だって貴方は、こんなにも。この俺が、目が離せないんだから。
こんなに真屋さんばっかり目が追ってしまうのは、貴方が目立つせいじゃないなら、これが恋だからってくらいじゃないとおかしい。



……あれ?



Fin…?

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