お酒は二十歳になってから。


「おー、効果覿面?」
「いやー名は体を表すってマジだな!」

 店に入るなり、笑い転げる真屋と桂木の声が聞こえて「あぁ、変わらないな」と頬が緩む。
 ところで何が効果覿面なのだろうと思いながら仲居に案内されて座敷に顔を出すと――

「あー! あしゅかさんらー!」
「おっ、来たな飛鳥」
「よぉキャプテンー!」
「遅かったじゃねーか飛鳥ちゃん」
「すまないな、遠征の帰りの飛行機が遅れたものだから。……で、コレは何だ?」

 まずは久しぶりの顔合わせに遅れた非礼を詫び、徐に抱きついてきた鬼丸を指して訊いてみた。
 ちなみにものすごく酒くさい。
 これは完全に出来上がってるようだが、大丈夫なんだろうか急性アルコール中毒的な意味で。
 ろれつは既に怪しいものの一応人の顔は認識できるようではあるが。


「あ〜それ。鬼丸にね、これ飲ませたんだよ」
「も〜あしゅかさんおそいれす。あいたかったんですよぉ」
「いや〜こんなに効くとは思わなかったっスね」

 思い出したように肩を震わせる白鳥と大月。白鳥の手にある瓶を見ると――『鬼こ●し』。なるほど。

「まさか『鬼●ろし』が鬼丸にも有効とはな……というか、下戸だったんだな鬼丸」
「俺たちも初耳だったけど。俺たちの子鬼ちゃんは成人しても相変わらず可愛らしいってこったな」
「……かわいい? おれかわいい、んですか?」
「うん? そうだな、お前はいつでも可愛いな」
「えへへ〜」

 これからまたこのメンバーで集まる時が楽しみだぜ? と悪い顔で笑う真屋に「倒れないようにしてやってくれよ」と笑って、そのまま離れない鬼丸を膝に乗せたまま向井から酌を受けた。
 この状態でも誰もヒかない辺り、本当に変わらないというか。
 そう言えばあの頃は酒が入ってなかっただけで、部室でもこんな感じだったっけな、と僅かに記憶を呼ぶ。
 成人して一年と三ヶ月ばかりになるが、今日の酒はその間に飲んだ中でも格別に甘い気がする。




Fin.

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酔っ払い鬼丸可愛い(・∀・)

12.02.02 加築せらの 拝

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