16歳の君へ

「よー相棒っ、今日誕生日なんだってな!」

誰から聞いたのか、「おめでとー」と言いながら小さなケーキ屋の箱を差し出すマコ。
教えたらまるで祝ってほしいみたいで気恥かしいから黙ってたんだが、なかなかどうして相方甲斐のあるヤツだ。
そんな日本語あるのかどうか分かんねーけど。

「さんきゅーマコっ! ん〜、何だろ」

食い物なのは間違いないから遠慮なくその場で開ける。
ふわりと広がるバニラと卵とカラメルの匂い……プリンだ。ふたつ。

「お前、プリン好きだろ? 新しく鎌倉駅前に出来たケーキ屋、プリン美味いって女子に評判良かったからこれにしたんだ」
「へへっ、サンキュ! もーホント、流石お前だなマコ!」

ぎゅっぎゅと相方を抱きしめて、一緒に食おうぜ! と片方を渡す。
同じものを食ってるけど、途中で一口すくって「ほい」と差し出すとノリ良くそのまま食ってくれた。
きっと女で溢れてる話題のケーキ屋で学ランをまじまじ見られながら買ってくれたんだろうプリンの味は、これまで食べた何より美味かった。

「そーだ、来月はお前の誕生日だな。何食いたい?」
「あれ、知ってんだ。つーか食い物前提かよ!」



Fin.



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荒木誕生日耐久お祝い企画第2弾。
マコちゃんと迎える初めての誕生日、16歳の荒木へ。


12.01.15 加築せらの 拝

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