帰り道恋心

この習慣が始まって何ヶ月目になるか、駆と並んで辿る帰り道。
俺たちが一年の時は駆もまだ選手だったし、それぞれに自主練して、駆は大抵傑さんと一緒に帰ってたから、少なくともその後だ。

マネージャーの仕事を終えて、自主練で少し残る俺を待ってくれて、一緒に帰る。
「傑さんと一緒に帰らないのか?」と聞くと「ケンカしちゃって」と言ってたが、いつまで経っても理由は「ケンカした」だった。
多分駆が選手を辞めたことで折り合いが悪くなったまま、ってことだったんだろう。
中学での練習が終わると傑さんは大抵高等部の自主練組に合流してたから、ケンカしてなくたって一緒に帰ることは無かったかもしれないけど。

……そのまま、傑さんが居なくなって、結局駆はその後も俺と一緒に帰ってる。

あの事故の後も、退院したら同じように自主練に付き合ってくれて。
リハビリも兼ねてまたボールを蹴るようにはなったけど、相変わらず選手としてピッチに戻るわけではなくて。
だけど、分かってた。
駆の足は、俺の知ってる練習時間だけであんなに鍛えられるわけないってこと。
きっとどこかで隠れて練習してるんだってこと。
でもその姿は、俺にも見せてくれないんだってこと。

それが悔しくて、帰る時、途中で浜に寄り道した時、何度も聞こうとた。
けど、やっぱりはぐらかされた。
少しだけ、駆の「親友」でいられる自信が無くなった。


でもそれが、この恋を自覚したきっかけだなんて笑えない。
駆が鎌学を出て行くと知ったあの日まで、それが恋であることさえ認めたくなかったくらいには。


(結局俺は、傑さんに嫉妬して、)



Fin.



---

エリアニ1話の祐介がすごくがちほもだったからうっかり書いた。
なにあれ( ゜д゜)すごく…祐駆です……

12.01.09  加築せらの 拝

top * 江ノ高




「#甘甘」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -