やさしさ

「スグル」
「ん、」

大好キダヨ、と告げながら落とす唇。
額に、瞼に、頬に、耳朶に。それから唇に。
親愛の情以上のものを込めて送り続けるキスを、スグルは全て受け取ってくれる。

だけど傑から返してくれるのは頬にだけ。
どれだけキスしたって「挨拶のキス、だろう?」って笑って、往なす。
その度にボクは頷くしかない。

だって、スグルは日本に想い人が居るから。
ボクの気持ちを知っていて、拒否しないでくれる、だけど決して返してはくれない。
気付いてないフリをして、挨拶のキスだとボクに言わせて、その上でなら全て受け止めてくれる。
多分一度でも「愛シテル」と告げたら、もうボクのキスはキミに届かない。


優しいのに、残酷だね、スグル。
でもキライになれないんだ、どうしてもキミが好きなんだ。

けどさ、これだけボクが心を寄せても揺らぎもしないくらい、なんだから。
キミが好きになったのは、ボクも納得するくらい素敵なヒトなんだろうね。



「レオ」
「うん? 何だい、スグル?」
「お前の事も、ちゃんと好きだから。そんな顔するな」

そ、と頬を撫でる手が温かい。
一瞬だけ冷えた心が、でもやっぱり自分に嘘は付けずに、熱くなっていく。

……ボクのこと『も』、なんだね。嬉しいな。

思った以上に、戦況は良いかもしれない。
あぁ、でも大丈夫。今以上には望まないから。




Fin.




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1000打企画第4弾、ろびんちゃんとついったで盛り上がって書くか!と決まった
『レオが自分を好きなのは気付いてて、でもキスは何度されても「挨拶のキス、なんだろ?」って笑って受けてやるダメな優しさの傑』でした!
傑視点で書いたら凄く甘いだけのダメ男になったんで
レオ視点に切り替えたら今度はものすごく悲恋になった。
どうしたらえぇのん^p^
ろびんちゃん、こんな感じはありですか…!?

11.04.30(23:07)仮上梓 加築せらの 拝

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