パス、飛行機雲、赤い糸。の続き。

まさかのメールに、我に返って慌てて返信を打つ。

<何、傑、今昼休み?>
<おう。返事来たってことは、お前も?>
<俺は既に自主的な放課後。今から鎌倉行くとこ>
<サボりかよ。つか何で鎌倉? 買い物?>

あぁ、メール打つのもじれったい。傑も昼休みなら、電話しよう。
気が付いたらもう駅だし、電車に乗る前じゃないと。
短縮3番、それから通話ボタンを押す。

『えっ、ちょ、どうした荒木』
「ん? お前の声が聞きたくなって。
 あと、買い物じゃなくて、お前に会いに行くんだよ、バーカ」
『は!? 俺まだ授業……部活もあるぞ?』
「安心しろ、別に練習サボれとか言わねぇよ。でも練習後の時間は俺が予約。良いよな?」
『それなら。……お前時々、すっげー無駄に男前だよな。ハラ立つ』
「ははっ! お、電車来た。んじゃ、また後でな!」

終話ボタンを押して電車に乗り込む。
きっと唐突に掛けて唐突に切った俺に、電波の向こうの傑は唖然としているんだろう。
普段は鉄壁の無表情なアイツがぽかんとしてるかと思うと、そうさせたのは俺だけど、目撃できないのは少し残念だった。

鎌倉に着いたってすぐ会えるわけじゃないのに、会えると分かっただけで逸る気持ち。
次第に早鐘を打つ心臓を抑えて、運転席越しに行き先の方向を眺めた。
まっすぐに延びるレールが、俺を傑を繋ぐ糸に見える。
線路が赤く塗装されてなくて良かった、なんて頭の湧いたことを思った。





Fin.


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ろびんちゃんから貰ったリク、は真っ先に書いたのですが。
実は続きが出来ていたので(「赤い糸」のパート)出してみましたw

11.04.30(02:00)上梓 11.05.01サイト公開 加築せらの 拝

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