いえろーかーどといっしょ。/兵藤



「覚悟しろぉ!」
「させるかぁっ」
「くおっ、またやられた! ウデ上げたじゃねーか楠木!」

マコのとび蹴り、からの、私の真剣白羽取り。
サッカー部のマジ蹴りなんて止められるわけもないから、当然マコも本気じゃない。
男とか女とかいう垣根が他の奴らと比べれば結構低いコミュニケーションが出来るマコだけど、この辺は意外と紳士だ。
マコが紳士、っていうと荒木に爆笑されるけど。

「ふはは、私に勝とうなど十年早いっ」
「えっ、それは十年後に再戦しろってこと?」
「んなワケあるかいっ」

十年後の約束もそれはそれで楽しそうだけど。
いくつになってると思ってんだ。
や、マコと荒木なら十年後でもバカやってそうだけど。
容易に想像つくけど。

「漫才の方も腕あげたなーあやの。俺が留守してる時はイエローカード代理やっか?」
「自信満々だね荒木!? 代表で留守にする、ってことだよね?」
「おう、そんときゃーマコのこと頼むぜ!」
「オーケイ、頼まれたっ」
「荒木も楠木も勝手に決めんなー!?」

あらやだマコってば私に何か不満でもあんの。
ちょっと膨れて肘打ち寸止めをかますと「ぐっはぁ!」と盛大に倒れ込んだ。
うむ、どつき漫才も悪くない。

……だけど、何だろう?
荒木と同じポジションじゃ、なんか、もの足りない?




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