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「ライトさん!!ウィッシュ兄さん息してないんです!!」

「!?サッズ、私と交代しろ!!」

「まかせとけ!」


何度呼びかけても、ウィッシュが目を開けることはなかった。それ以前に呼吸すら止めてしまった彼に、ホープは半狂乱になってライトニングを呼ぶ。彼女ならなんとかできないであろうかという漠然とした想いが胸を占める。


「あいつがウィッシュ兄さんの胸に何か、靄のようなもので攻撃して、その靄がウィッシュ兄さんに吸い込まれて…、」

「…、ホープ、」

「どうしよう、どうしようライトさん、ウィッシュ兄さん、兄さん息してな…、」

「落ち着け、呼吸停止から何分経ってる?」


三分、五分…、そういった後、ホープは首を横に振った。わからない、そういうことらしい。


「お前はスノウ達の元へ行っててくれ。」

「でも!!」

「ウィッシュは、私が何とかする。」


情けない。大切な人のために今、自分ができることと言えばこうやって歯を食いしばることしかない。

リンドブルムであの変態軍医に言われた言葉が、再びホープを内側から襲い掛かる。

守られてばかりの子供じゃないなんて、ウィッシュに大層な口を開いたというのに、いざ事態が深刻になれば自分は何も出来ないのだと再認識をせざるを得ない。

今自分にできることと言えば、ここで何もせず唇を噛むのではなくバルトアンデルスを少しでも早く倒しておくことだ。

ホープは、しかと頷いたライトニング、次いで苦戦しているスノウ達を見る。

一度瞼を閉じ、再び開いた眼光に困惑した色を見せず、ホープは一つ頷いた。


駆け出してバルトアンデルスの元へ駆けて行ったホープを背に、ライトニングは未だに目を瞑っているウィッシュへ視線を落とす。

眠るように閉じられた瞳。呼吸を止めた少し厚い唇。

引き寄せられるように、ライトニングはウィッシュの顎を持ち上げて己の唇をそっと重ねる。

睫が触れ合いそうなほど互いの睫が長いのか、重ねている口唇が深いのかはわからない。

持ち上げた顎によって開いていた口内に、息を送り込もうとした瞬間ライトニングを、正確にはウィッシュを黒い靄が覆った。











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