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「ちょっと、本当にうまくいくんだろうね?」
「僕ちんの作戦に失敗はぬぁあい!」
銀髪の髪を優雅に振りながら眉間にしわを寄せてその端正な顔をゆがめて胡散臭そうに横にいるピエロを一瞥する。
ピエロは手にあるものに視線を落とし、口角を吊り上げた。
「さぁ、行きましょう。秩序の皆さんが大切にしている玩具を見に。」
「フフ、開演だね。」
混沌としたこの雰囲気に似合うように2つの影は仄かに揺らめく光を目指して姿を消した。
「おい、クラウド。」
「ああ、わかっている。」
先ほどまで議論していた顔つきとは思えない、真剣な顔をして秩序の2人は立ち上がり彼方から来る黒い気配に立ち向かうべく歩き出した。
「あ!いましたよ!!いましたよ!!」
「うるさいね、見ればわかるよ!」
銀髪の男、クジャは隣ではしゃぐピエロ、ケフカを煩わしそうに見てから聖域にいるカツヤを見た。
「後はこれで…、っと」
ケフカはぴょんぴょんと跳ねる様に歩きながらカツヤの後ろに手にあったものを置いた。
「?…クマさん!」
物陰に隠れていたケフカとクジャはぬいぐるみに駆け寄るカツヤを見て満足そうに頬を染めた。
「いい感じだね。」
「まだまだぁ!これからですよ!」
ケフカは手をかざしクマのぬいぐるみに向かって魔法を飛ばすと、クマのぬいぐるみはまるで生きているかのように立ち上がって歩き出した。
「あは!」
((かわいい!!))
「当然だ。」
「何やってんだお前ら。」
胸中カツヤの可愛さで悶えていたら後ろから低い声が2つ聞こえてきた。
「な、なんだジタンかい。驚かすんじゃないよ。」
「勝手にビビったのはお前だろ!」
「あ!来ましたね!それ!」
「もう少し間隔をあけろ、追いつかれるぞ」
兄弟喧嘩が起きそうになると、ケフカがクマの人形に魔法をもう一度唱える。その横でケフカにアドバイス的なものをするクラウド。
だいぶ聖域から離れたところでカツヤが寂しそうにクマを見つめ、武器である鐘を取り出す。
攻撃するのかとおもえば、からんころんと鐘を鳴らしたカツヤ。
「おいでー?いっしょにあそぼー?こわくないよー?」
「クラウド!」
「わかっている。」
ジタンがクラウドを見て、クラウドもそれに応じる。何事だとクジャが2人を見ると、彼らはカメラとデジカメを構えていた。すでに録画・撮影中だったようだ。
こて、と首をかしげる姿はどうやら秩序だけでなく混沌をも魅了してしまえる効果があるようで、ケフカとクジャも頬を染めて楽しんでいた。
「そろそろ、フィナーレかな。」
「ちぇー!わかりましたよっ。」
クジャはケフカに耳打ちし、ケフカはもうちょっと遊びたかったという雰囲気を前面に醸し出しながらクマに最後の指令を与えた。
クマはカツヤの元へ歩いていき、抱きしめられるとその柔らかな頬にそっと鼻を押し付けた。
「ケフカ、」
「GJ!!!!!」
秩序の金髪共を見れば鼻を押さえて親指を力いっぱい立てている。
「まぁ今日はこれくらいで許してやるよ。」
「えらい上から目線だよね君。」
ジタンがカメラをしまいながら腕を組みクジャを睨み付けて言い放った言葉にクジャは青筋を立てながら言い返す。
「今度こんな計画があるなら教えろ。」
「え〜、僕ちんどーしよっかなー。」
「参加費として焼き増し、でどうだ?」
「ぜひ参加してください。」
クラウドとケフカといえば、がっちりと手を組んで微笑みあっていた。
その後別れたクラウドとジタンは猛スピードで聖域に帰ったことでなんとかカツヤより早くついた。
「今日は、いい収穫だったんじゃない?まぁ彼も、僕の美しさと同レベルのような愛らしさを携えていると言うことは理解できたよ。」
「はいはい。」
周りのオーラをキラキラさせながらナルシストぶりを語るクジャにケフカは耳に手を突っ込みゴミを取っている動作で興味の加減を示した。
「おいおめぇら!」
混沌の近くまで来ると、逞しい肉体を晒しているティーダの父、ジェクトが仁王立ちして2人を待ち構えていた。
2人は厄介なものに出会ってしまったと顔で物語っていた。
スターチスを携えて
(カツヤに逢ってきたんだろ!)
(何で分かるのさ)
(ずるいぞずるいぞお前ぇら!)
(耳障りだよ!)
(ずるいー!!ずるいー!!)
((めんどくせぇ!!))
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