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レグルスの王冠をあなたに
「強い人が好きだよ」「あ〜具体的にはどんな?」毎度おなじみライブラ本部。自分と同様にソファに座るザップへ言葉を返す。ちなみにレオナルドとツェッドは出かけていてこの場にはいない。「んんー、背が高くて、」「おう」「真面目で優しくて、」「おー」「植物が好きで、」「……ん、」「体格はがっしりしてて髪は赤くて、」「…………んん??」「ブレングリード「いやいや待てって、それに当てはまるの一人しかいないじゃねえか!」そうだね」「『そうだね』じゃねえよ! 見てみろ! なんかよくわかんねえケド番頭が賢者モードになってんじゃねえか!」少し離れた位置。見ると、自分のデスクで簡単な書類整理中だったスティーブンが、いわゆるゲンドウポーズをとって深刻そうな重い空気を背負い沈黙していた。「あのねえ、ザップ? わたし、『恋愛感情で好きな人』って言ったっけ?」「あ゛」「ふふ」「てめえ、はめやがったな……」「やだなーいつわたしがカワイイ後輩をはめたって〜?」「寝言は寝て言えクソ女! 俺のこといつもSS呼ばわりしてんじゃねえか!」「え? 何ザップ? 猿って人語話すの?」「〜〜〜ッ!!」「……二人とも、そのあたりにしないか」件の『当てはまる人物』であるクラウスは、先ほどまでデスクトップパソコンに向かいプロスフェアーをしていたが、ひと段落したらしく立ち上がる。「旦那ぁ〜」ザップが情けない声を出す。近くまで歩み寄ってきたクラウスに、杏樹は口を開いた。「今日もかっこういいね」「ヒッ」絶対零度の空気が背後から急激に迫り、ザップは青ざめた様子で悲鳴を上げた。しかし『こういう事』に鈍感なクラウスはそれには気づかず「……そんなことはないが。そうだな、礼は言っておこう」と口の端を緩めた。意図的にこの面白い光景を作り出した杏樹は、心の中でひとしきり笑ってから、こんなふうに馬鹿をやれる平和のありがたさをしみじみ噛みしめる。あとでスティーブンを慰めてあげよう。ザップは論外だが。そうそっと思いながら。


▼ クラウスメインの話と予告しつつ、当の本人はあまり出番がありませんでしたが、一応タイトルはクラウスをイメージしてお借りしていたので……;;
  2015/06/15(2015/07/07up,2015/07/13move)

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