B3→total reflection | ナノ


虹色のスパーキング
※アニメ最終回後日談です












不思議な双子と13王をめぐる、ヘルサレムズ・ロット中を駆け抜けた大きな事件が終息を迎えた。

まるで大崩落の再来かと思われた出来事も、終わって数日経てば、皆日常を取り戻しつつあった。いい意味でも悪い意味でも、それがこの街の特徴である。

杏樹はその光景を目にして、寂しさを覚えながらも自宅からライブラ事務所に向かって歩いていた。
瓦礫撤去のためせわしなく動く人々の中には、もちろん警察職員の姿もある。
その隈の出ている目と視線が合い、ぺこりと会釈をすると、ちょいちょい、と手招きされた。

「なんですか警部補」
「本当は10時間ほど説教と洒落込みたいところだがな」

ダニエルの指揮のもと、警察のドローンが働く真っ只中に入っていくのには気が引けたが、勇気を出していざ彼の近くへ行くと、開口一番背筋が凍るようなことを言われて杏樹の血の気が引く。
実は以前にも個人的に無茶をして、いやというほど説教されたのだ。
ダニエルの説教は、説教にあらず。本当に生きた心地がしない。

「まあ、今回はこれで許してやる」

こつん、と軽く小突かれる。

「お疲れさん」

言われて、思わず言葉を忘れてしまった。
この台詞は、本来自分に送られるべきではない。

うまく返事ができないでいると、そうするうちにもダニエルは背を向けひらひらと手を振って離れていく。

もうこの話は終わりということだ。
背も低くて猫背で、へたれたコートを着ていて、全然締まらないのに。遠ざかる後姿が妙に様になって格好いい。

「……お疲れさまですッ!」

杏樹はおのずと表情を引き締め、ぴしりと敬礼をして応えていた。


▼ 「ひかりのくびわ」とこの「虹色のスパーキング」は、一度にスムーズに読んでもらえるように、一種類だけのアップになっています。また、この話の更新で一度原作&アニメ沿いはひと段落となります。今までお付き合いくださり、ありがとうございました。
  2016/2/20(2016/05/26up&move)

back
[ 29/42 ]
|

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -