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秘めたる背骨の才能を
「普段にこにこ笑ってる姿しか見てないから、まさかギルベルトさんがあんなに強い人だったなんて思わなかったっすよ」
人は見かけによらない、とよく言うが、まさにそれが実現された形になったのだ。数日前身体を痛めていたにも関わらず、愛車を色んな意味で乗りこなし、敵を薙ぎ倒していった修羅さながらの老執事は、レオたちの記憶に新しい。
今はすっかり回復していつも通りの穏やかな笑顔で紅茶を入れてくれる。「そうだねえ、」
レオと揃って紅茶を受け取り、ソファに身を委ねながら、相槌を打つ。一方のギルベルトはソファのそばに佇んだまま「いえいえ、私などはまだまだですよ」と笑顔で謙遜をした。杏樹は静かに紅茶に口をつける。「まあ、ラインヘルツ家の執事であると同時にライブラの一員でもあるっていうのは、やっぱり伊達じゃないってことだよ」言いながら、膝上のソニックの頭を撫でれば、嬉しそうにキキッと鳴いてくれた。「ですね。……体、治ってほんとによかったです。ギルベルトさんの紅茶がないと落ち着かないですし」続けてレオがギルベルトを見上げ、「おいしいです」と一言。合わせて杏樹も同じ言葉を告げる。「ありがとうございます」そんな二人に対しギルベルトは微笑んで軽く会釈をした。何気ない昼下がりもおいしい紅茶ひとつあるのとないのとでは、随分違うのだ。再び紅茶を口に含み、ゆっくりと味わって飲み込んだ。


▼ ギルベルト回後の話。
  2015/06/12(2015/08/10up,2015/08/18move)

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